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貴方を想う/2
「お二人は生涯隣にいる…そう出ています。」
伝えるのはきっとこれだけでいい。友人としてなんて今言うのは酷な気もする。いつもはしない気遣い。
そんな自分を嘲笑してしまう。
だって水戸先輩の曇る表情なんて見たくない…
何て自分本意な行動…
頬を染める水戸先輩。チクリと胸が痛む…
そんな先輩に気付かない水無瀬先輩
「へぇ。隼人とずっと一緒なんだ…うれしいかも。」
それは…酷い物言い…自分へ向けられる気持ちに鈍感すぎますよ…水無瀬先輩…
「み…水無瀬…?」
「ん?なぁに?」
「それって…どういう…」
ほら…勘違いさせてしまったじゃないですか…。
水無瀬先輩を叱咤したい衝動を必死に押さえる
「ん?だって生涯の友人でいられるってことでしょ?嬉しいよ」
更に追い討ちを掛ける水無瀬先輩…
「…水戸先輩…水無瀬先輩って…」
「うん…そうなんだよね…」
「頑張って下さい…どんな形でも側にいられることには変わり無いですから…」
ごめんなさい…これ以上のことは言えません…
「…なんか…うん…ありがとう」
「心中お察しします…」
「?」
俺たちのやり取りに本当に疑問を持っている水無瀬先輩…
この人…実は天然?かなりの鈍感さんですね?
そんな思いを持ったことを隠し二人を見送る
「水戸先輩…好きです…」
届かない思い。自分のことは占えないから臆病になる…
ねぇ…先輩…いつか…あなたの瞳に俺だけが映るときは来るのでしょうか…
そうだったら…どれだけいいかな?
でも臆病な俺はきっとずっとこの想いを秘めたまま歩いていくのでしょう…
「左近」
「何?父さん」
「お前は難しい恋をしてるでしょ?」
「え?」
帰宅して直ぐに父に言われる
「お前の想いがいつか届くといいね?」
「なにそれ?」
「いや…何でもない。そんなに臆病になるなってこと。」
「それって…」
「後は神のみぞ知る…だな」
「…」
そんなこと言われたら期待しちゃうでしょ?やめてよね…
先輩たちが卒業して数ヶ月。まだ俺は密かに水戸先輩のこと想ってる。
「あれ?糸島じゃん!!久し振り!って言うほど絡んでねぇけど」
「水戸…先輩…?」
「覚えててくれたの?」
「えぇ。」
心臓が壊れそうな位五月蠅い…
『運命が廻り出すのはもう少し。行ってらっしゃい。左近。』
出掛けに告げられた父の言葉が再生される
「そうだ!あのさ。お前入学式の時ギリギリに来たよね?最近思い出してさ。あのときの奴お前じゃなかったか?」
「はい!そうです」
思い出してくれたことに歓喜する…嬉しい…泣けてきそうなほど…
「俺すごくない!?学校で初めてお前に会った人じゃん!!あのときまさかあの糸島なんて思ってもなかったけれどな」
太陽みたいな笑顔が眩しくて…
「あれ?糸島?どうした?」
「あ…目に…目にごみが入ったみたいです」
涙が出てたみたい…
「大丈夫かぁ?」
わわわっ!!顔近いっ!!
「んー?見当たらねぇなぁ」
「あっと…えっと…とれたのかも?」
「良かった。んならまたね」
「はい!」
少しだけ…少しだけ勇気を出してみよう…
「あのっ!!先輩」
「ん?」
「連絡先交換しませんか?」
ここから始めよう…
完
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