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君を迎えに

高校を卒業し俺は大学進学をした。 家族は相変わらず海外にいてそちらに来ればいいのにと何度も言われたけれど俺はいかなかった。 どうしてもここにいないとならない理由もない。 単純にここが好きなだけ。 大学に入って直ぐから暫くは何だかんだ忙しくてバタバタしててそれがやっと落ち着いたからアルバイトを始めた。 ダイニングバーで働き始めた。先輩もみんないい人でお客さんの評判もよくて自由もきくし時給もいい。すごく恵まれてると思う 別に親の仕送りで授業料とかその他もろもろ賄えなくもないのだけれどなんとなくそれには極力手をつけずに自分で払ってた。 バイトは高校時代からしていたからまぁそれが当たり前になってた 今日もバイトに向かおうと準備をして外に出た。 外はいい天気。鼻唄でも歌いそうなくらいに。 何だかいいことがありそうな予感がしたんだ。 もうすぐバイト先に着く。そんなときよくテレビで見る人の姿を見つけた 「あれ?糸島じゃん!!久し振り!って言うほど絡んでねぇけど」 後輩であり今話題の占い師である糸島 左近だった。相変わらずきれいな顔をしてる。テレビで見るよりずっと 「水戸…先輩…?」 声を掛けたもののあの文化祭以来全く会わなかったんだから糸島は俺のことはわからないだろうと思ったのに帰ってきた俺の名前に驚く 「覚えててくれたの?」 「えぇ。」 なんの絡みもなかった俺のことを覚えているだなんて何だか嬉しい… 次にあったら言おうと思ってたことをここで話す 「そうだ!あのさ。お前入学式の時ギリギリに来たよね?最近思い出してさ。あのときの奴お前じゃなかったか?」 「はい!そうです」 そっか!やっぱりそうだったんだ。新入生なのにギリギリで一人で現れた小さな綺麗な男の子。ガラスみたいにキラキラ透き通った瞳をうるうるさせながら無駄に広かったあの敷地で迷子になってた。あんなに綺麗な子なのに何で忘れてたのか不思議なくらい 「俺すごくない!?学校で初めてお前に会った人じゃん!!あのときまさかあの糸島なんて思ってもなかったけれどな」 笑って言いながら糸島を見つめると耳まで真っ赤にして固まってる。あれ?なんか嫌なこといったかな?不安になって目線を糸島に合わせるため少しだけかがんで顔を除き込む。その瞳からなぜかキラキラと雫がこぼれ落ちてて焦った… 「あれ?糸島?どうした?」 「あ…目に…目にごみが入ったみたいです」 「大丈夫かぁ?」 ごみをとってやろうとそっと頬に触れ顎を持ち上げ少しだけ下瞼を捲る 「んー?見当たらねぇなぁ」 「あっと…えっと…とれたのかも?」 「良かった」 取れたんならよかった。綺麗な瞳に傷つくのは可哀想だから。 そんなことをしていたらバイトの時間が迫っていた 「んならまたね」 ヒラヒラと手を振ると深々と糸島が頭を垂れ 「はい!」 返事した。ふふっ!可愛い返事の仕方。元気よすぎ…可笑しくなって口に手を当てて笑いをこらえて立ち去ろうとする。すると…。 「あのっ!!先輩」 呼び止められたことに驚いて笑いは引っ込む。どうしたのかな?不思議に思い振り返る 「ん?」 「連絡先交換しませんか?」 緊張しながら聞いてくる姿が何かすげーきた…何なんだろう…可愛すぎるんだけど… 「いいよぉ。お前が暇なとき連絡頂戴。んじゃ俺バイトだから行くね。」 忙しい糸島だからなかなか連絡は来ないかもしれないけどたった今増えた番号を撫で歩きだす

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