89 / 253
戸惑い。(12)
いい加減、ひとりでできることはしなくちゃいけないって思うのに、紅さんはいつまでも僕を甘やかす。
お風呂だって……。
もう、ひとりで入れるんだ。
――というか、恥ずかしいからひとりで入りたい。
そう言ったら、紅さんは、「わたしのことが嫌いかい?」って尋ねてくる。
嫌いになる事なんてないし、逆にこんなに親切にしてくれて、もったいないとすらも思える。
だから、そんなことはないと、首を横に振れば、「それなら、問題ないよね」って。
でも、でも……僕の身体、ヘンなんだ。
紅さんに身体を洗われると、みぞおちがムズムズするし、その度に身体が揺れて、その度にヘンな声を出してしまう。
それにね、紅さんの匂いを嗅ぐと頭がボーっとしてくるし、何も考えられなくなる。
『もっと欲しい』って思うけれど、いったい何が欲しいんだろう。
よく、わからない。
……それにね。
お尻の中を洗ってくれる紅さんの指が、日に日に深くなっているような気がする。
そんなこと、絶対ないのに……。
そんなことを思うなんて、僕、本当におかしいんじゃないかな。
僕自身も洗われて、紅さんの目の前で吐精もしてしまって、恥ずかしいことこの上ない。
お風呂から上がったら、もう何も考えられないくらい、のぼせ上がっちゃって、そこでまた、僕の意識が飛ぶ。
毎日がそれの繰り返しなんだ。
ともだちにシェアしよう!