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戸惑い。(12)

 いい加減、ひとりでできることはしなくちゃいけないって思うのに、紅さんはいつまでも僕を甘やかす。  お風呂だって……。  もう、ひとりで入れるんだ。  ――というか、恥ずかしいからひとりで入りたい。  そう言ったら、紅さんは、「わたしのことが嫌いかい?」って尋ねてくる。  嫌いになる事なんてないし、逆にこんなに親切にしてくれて、もったいないとすらも思える。  だから、そんなことはないと、首を横に振れば、「それなら、問題ないよね」って。  でも、でも……僕の身体、ヘンなんだ。  紅さんに身体を洗われると、みぞおちがムズムズするし、その度に身体が揺れて、その度にヘンな声を出してしまう。  それにね、紅さんの匂いを嗅ぐと頭がボーっとしてくるし、何も考えられなくなる。 『もっと欲しい』って思うけれど、いったい何が欲しいんだろう。  よく、わからない。  ……それにね。  お尻の中を洗ってくれる紅さんの指が、日に日に深くなっているような気がする。  そんなこと、絶対ないのに……。  そんなことを思うなんて、僕、本当におかしいんじゃないかな。  僕自身も洗われて、紅さんの目の前で吐精もしてしまって、恥ずかしいことこの上ない。  お風呂から上がったら、もう何も考えられないくらい、のぼせ上がっちゃって、そこでまた、僕の意識が飛ぶ。  毎日がそれの繰り返しなんだ。

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