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ふたりの訪問者。(1)

  ピンポン。  時間はお昼14時を過ぎた頃。  僕は(くれない)さんと一緒にホットケーキを焼いていた。  これも僕の日課になった。  はじめは料理の仕方もわからない僕だったけれど、必死に料理本と格闘して作ったモノを紅さんは美味しいと褒めてくれた。  今は紅さんに買ってもらった料理本が主な僕の読書の素材だ。  こうして僕は紅さんのおかげで普通の人と同じように生活できるようになった。  だけどいつまでも紅さんにしてもらうだけなんて心苦しい。  僕だって少しくらいは紅さんの役に立ちたい。  そう思って今は料理の特訓中。  そんな中高いチャイムの音が部屋全体に響いた。  誰だろう?  僕がそう思ったのは、この家のチャイムが滅多に鳴ったことなかったからだ。  頭の中で疑問符ばかりを浮かべていると、紅さんは手にしていたフライパンから今焼き上がったホットケーキをお皿に移し、「来たようだね」ってひと言添えて、リビングから真っ直ぐ延びた廊下の先にある玄関へと向かった。  僕も慌てて紅さんの後に続く。  ……ガチャッ。  玄関のドアを開けた先には――25歳前後の男の人と、僕と同じくらいの年齢かな? 男の子が立っていた。 「ふたりとも、よく来てくれたね。とても嬉しいよ」  紅さんはそう言うとふたりを家の中に通した。 「俺でも、お役に立てることがあるのでしたら」  男の人の背は180センチは軽くあるかな? 紅さんと同じくらいだ。

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