143 / 489
第140話.◇静からの手紙①
「誰に連絡?」
「敦くんと誠くん。静くんから連絡がいってないか聞いてみるね」
鈴成は拓海に言われて、静が仲良くしていた2人のことを思い出した。
『はい、拓海さん? どうしました?』
「あ、敦くん? 静くんから連絡とかあった? あと、寮に帰ってないか知りたいんだけど」
『静ですか? 昨日そっちに泊まるって連絡はきましたけど、それ以降は何も。こっちにいるかは、今確認しますね………ピンポーン……あ、誠?…ガチャ…敦どうしたの? 静? 帰ってきてないけど……あの、静まだ帰ってきてないみたいです。何かあったんですか?』
分かってて聞くのは拓海でもしんどかった。
「そっか、今朝から姿が見えなくて、どこに行ったのか分からなくなっちゃってね」
『え? それって行方不明ってことですか?』
行方不明ではない。拓海は静がいる場所を知っている。
「手掛かりになりそうなものが諒平さんの家にあるらしくて、後で敦くんと誠くんも一緒に行って欲しいんだ」
『もちろん行きます』
「4時に約束してるから、学校の守衛さんの所に3時半ってことでいいかな?」
『分かりました』
電話を切ると鈴成に詰め寄られる。
「兄貴、手掛かりになりそうなものって何? 早く確認したい」
「僕も詳しくは分からない」
拓海はそう言う事しか出来なかった。
結局朝ごはんも昼ごはんも食べる気が起きず、水分だけ摂ると敦と誠と合流し、4人で風間家に向かった。
きっかり4時に到着してインターホンを鳴らすと、すぐに諒平さんがドアを開けてくれた。
「いらっしゃい、中入って」
リビングに通されると、鈴成が口を開いた。
「静の手掛かりになりそうなものって何?」
「ちょっと待ってて」
諒平は金庫に入れた物を取り出した。
鈴成と敦と誠にメッセージカードを渡す。
中を読んで3人共肩を落とす。
『ごめんなさい、さようなら』の文字。
「あ、このメッセージカードはね、二重になってるのよ。そこにほんとうのメッセージが書いてあるから。ある特定の光を当てると読めるの。こっちに来て」
3人は諒平に着いて行く。
2階に上がるとそこは諒平の仕事部屋のようだった。
端にある机の電気をつけると、ツマミを回しているが見た目の光は変わらない。
「これで、読めるはずよ」
「鈴先生から、どうぞ」
「いいのか?」
鈴成は敦と誠を見た。2人が頷くのを見て、光にメッセージカードをかざした。
文字が浮かび上がる。
ともだちにシェアしよう!