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第18話
扉が閉まり終わるのも待てないほどだった
彼は引きずり込んだユウをその腕に抱きしめる
無意識に細い体が折れてしまいそうなくらい力が入り、腕の中で苦しそうにユウは 小さく声を漏らす
「うぅ....」
彼は失笑した
自分でユウを試したくせに焦って試してこのざまだ
自分自身をあざ笑い、そして思い知る
彼もまたユウがいないと生きていけないことを
ギリギリと腕を締めながらユウの髪に頬ずりをしてそのにおいを胸いっぱいに吸い込んだ
抱きしめる腕の中でユウがもぞもぞと動いて彼に何かを訴える
「なぁに?」
腕の中にユウを閉じ込めたまま、その声に耳を傾ける
ユウは動きずらそうにしながら固く握った手を差し出した
差し出された手には所々血が滲んでいた
「どうしたの?!」
パッと見る限りケガをしているようには見えない
自分が見ていない間に何があったのか....
「手、見せて?」
そういって突き出した拳を掴む
「手!ひらいてよ!」
握られて手をなかなか開こうとしないユウに彼は思わず声を荒げていた
自分は何度となくユウを痛めつけてその際、出血することもあるというのに、いざ自分以外が危害を加えることがあると思うといてもたってもいられなかった
ユウは恐る恐る手のひらを広げていく
その手の平の中に血に染まった何かが握られているのが見えた
その小さな薄い何か....
彼は指先でその何かをつまんで透かして眺めた
それは渇いた血がこびりついた薄くて小さい....
「爪....?」
ユウは彼にそれを捧げるように見せたまま、上目遣いで彼を見つめていた
「これ..自分で剥がしたの?」
目をぱちぱちさせながらユウはただじっと目を合わせたままだ
それでもその目は...
よくできたでしょう?えらい?ねえ...ほめて?
そう訴えているように見える
「ユウ...これ俺にくれるの?」
その爪を握りしめて尋ねるとユウはコクンとうなづいて唇を横いっぱいに広げた
「そっか...ありがとう」
胸の中が熱くなっていく
かわいいかわいいユウからのプレゼント
どんな高価なものよりも嬉しくて嬉しくてたまらない
自然ににやける顔を振って抱き上げるとユウは嬉しそうに首に手をまわしてしがみ付いた
「ユウ..大好き..なにしてほめてほしい?」
特別な贈り物にはそれ相当のお返しが必要だから...
彼はユウこそ大事な宝物のように抱えていた
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