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第28話
それからも熱は何日も下がらなくて
ベットに横になるユウの手を彼はずっと握っていた
熱に浮かされたユウの瞳から勝手にポロポロと涙が流れていく
ユウは赤くなった顔で苦しそうに短い息を吐く
「ユウ?辛い?」
彼に問われても返事はおろか、焦点さえも定まらないようだった
それでもユウは寝ている間、彼がずっと手を握ってくれていること、時々頭を撫でてくれることがうれしくてたまらなかった
こんなに苦しいのに......ずっと続いてもいいと思えるくらいうれしい
汗ばんだ身体を拭いて、着替えさせてくれる
包帯を変えるときはすごく痛くて、じっとしていられなかったのに彼は一言も怒らなかった
大好きなプリンをもらったのに食べられなかったけれどそれでも「いいんだよ」と言ってくれた
ずっとこのまま熱が下がらなかったら....ずっとこうしてくれるのかな......
うれしいような、でも苦しいような、自分にとって何が良いことなのかユウには判断ができない
ーーうとうとするユウにつき添いながら彼は悩んでいた
苦しそうな姿を見ているのは辛い
けれど病院には連れて行けない
ただこうやって看病しているだけで果たして元気になるのだろうか
誰にも知られずに二人だけの世界を守っていくことに限界を感じる
「嫌だなぁ...」
ポツリとつぶやきながら天井を見上げて、深いため息を吐いた
手元に置いてある携帯を伸ばして画面をスクロールしていく
そして彼は”ある人物”の名前のところで指を止めた
最後のボタンをタップするのをどうしてもためらってしまう
その気持ちを後押ししてほしくて、チラリと少年を横目で見ると、いつの間にか、穏やかな顔で眠ってしまっていた
かわいいかわいい自分だけの宝物
誰にも見せたくないけど、これ以上辛そうなのは見ていられない
「はぁ.....嫌だな...」
もう一度つぶやいて目線を携帯の画面に落とした
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