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第2話

何年かぶりに会う彼は少し背が伸びていて、だいぶ大人になっていた 料理が運ばれてくる少しの間、椎名は彼が話し出すのを待っていたが、一向に口を開かない 痺れを切らして自ら質問を投げかけた 「で...相談て...?」 「.....」 「呼び出したんだから...話してくれないと何もしてあげられないよ」 彼はしばらく椎名の目をじっと見つめその黒目の奥の本音を探るようにのぞいた 「....!」 また一線を引かれてしまうのではないだろうか...そんな風に思うのもつかの間、彼は口角を上げた 「火傷と深い切り傷の治し方...教えて?」 まるでおねだりするように顔の前で手を合わせて笑う しかし、その内容は、そんな態度で聞くべき事柄なのかと薄ら寒くなった 「誰か怪我でもしてるの...?」 「....」 「彼女?」 「大事なもの」 「もの」....聞く限りたぶん誰か身近な人間であろうに、それを彼は「もの」と表現した けれど椎名が驚いたのはそのことではなく、彼が他人に興味を示したことだ 以前の彼は....椎名が知る限り、他人に興味などまるでない 自己中心的な考えと暴力性をもった幼い少年だった 「見てみないと...どれくらいのケガなのかわからないな..」 それは遠回しにその相手に会わせろということ 椎名は大変興味があった 彼が興味をもって「大事」とまで言わせる人間がどんな人物なのか それは自分が彼と向き合っていたあの頃、取り戻せなかった「情」というものを一体どうやって戻すことができたのか.. 今後のためにも確かめてみたかった 「見に来てよ」 彼はあっさりと家に椎名を迎えることを了承する なんだか自分の知っている彼とは別人のようで、ますますその「大事なもの」に興味が沸いた

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