「遅いなぁ」 ミツルはユウの髪を撫でながら時計を気にしていた 約束の時間は８時 すでに２０分遅れている 今日のユウは昨日より顔色が良くなっていて、あれだけ続いていた高熱も少しだけ温度が低いくなっていた 「やっぱり、先生の手当が良かったのかな？」 つぶやきながらユウの額を撫でると、昨日までほとんど反応できなかった目が細くなった 「笑った？少し元気になったかな？」 握られた手に力を込めてみると少しだけ強く握り返された 「昨日の人が来てくれるはずなんだけどな...まだ来ないんだ」 落ち込む様な顔でミツルが語り掛けるとユウはまた手に力をこめた ユウはベットに横になりながらその唇を少しだけ開けて何かを訴えかけた 「ぁ...」 「うん？なぁに？」 顔を近づけてその声に耳をよせると、赤く濡れた唇の間から小さな舌を覗かせた 「かわいいね..キスしてほしいの？」 潤んだ瞳で舌を出したままのユウにミツルは笑いかけて唇を重ねた まだ熱っぽい唇は彼が舌を押し込むと簡単にだらしなく開いていく 「んっ....ぅ」 苦しそうに、けれど求めるように舌を自ら絡ませてくるユウを引き離して彼は笑いながらたしなめた 「だーめ...もっと元気になってからね？」 その時、部屋にインターホンの音が響いた 「やっと来た」 舌打ちしながらミツルはユウをその場に残し玄関へと急ぐ 「先生...遅いよ」 待ちに待った相手がやっと目の前に現れた 「ごめん...遅くなって」 目を伏せながら大きなバックを重そうに抱えた椎名が立っていた ミツルはニコリと笑いながら部屋に迎え入れた