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ユウは今まで見てきた笑顔そのままでミツルの名前を呼んだ
離れてしまった距離が嘘のようにユウは昔と変わらない
「バカじゃ...ないの?お前...」
離れて半年もたつのに、まだ自分を好きだと言ってくれる
このまま忘れてくれればいいのに
いつまでも囚われることなんかないのに...
ーーそれとも待っててくれてるの?
ユウがミツルの名前と愛を叫んだところで映像は途切れ、満面の笑みのまま画面は止まった
ミツルは手の平で顔を覆い、呆れたように笑みを零す
「ユウ...」
ユウに同じ気持ちを返したい
会って抱きしめて「大好き」だと伝えたい
ユウに繋がっているこの脆く儚い糸をどうか俺に紡がせてほしい
"ユウに会いたい"
生きる意味さえ分からない俺にとってそれだけが今の全てだ
会いたい、触れたい、抱きしめたい
もう一度だけでいいから
それだけを励みにしていればどんなことでも頑張れるような気がする
ずっとユウが俺にしてくれていたように
今度は俺がユウのためになんでもしてみせるから
「待ってて」
必ず迎えにいくから
ミツルは瞼に焼きついたユウの面影に誓った
前編(終)
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