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ピチャン...ピチャン...
一定のリズムで聞こえる水音
腕が重い
頭が痺れる...
ーー俺...何してたんだっけ...
ぼんやりした意識の中でゆっくりと目を開けるとまるで霧が晴れていくように視界がクリアになった
そしてそれと同時に現実的な痛みが彼の知覚を襲う
「痛え...」
まるで心臓が脈打つようにズキン、ズキンと頭に響く
「....寒い」
ぽつりと呟いた一言は誰に聞かれることもなく消えていく
彼がゆっくりと目線を下におろすとそこには真っ赤に染まる左手が力なく横たわっている
あぁ、
俺...またやっちゃった
それが自分の腕だと気づくのにそう時間はかからなかった
さして驚きもせず流れていく血の筋を目で追ってそのままタイル目に沿って排水溝へ消えていくのを眺めていた
小さなバスルーム、赤く染まる床、濡れた身体
それらすべてが揃って彼は納得する
ーーまた死ねなかった......性懲りもなくまた生きている
...だけど本当は知っている
手首なんかじゃ死ねないこと
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