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共同生活

「名前を呼ばれたらどうするんだっけ?」 考える間もなく体が浮いて、次の瞬間、壁に激しく打ち付けられた 頭がグラグラして立てなくなったところを今度は彼の膝が勢いをつけてみぞおちに食い込む 何も食べていないユウは胃液を少し吐いてその場に倒れこんだ 「ユウ」 冷たいその声はまるで針のようにユウに突き刺さって、体中に痛みを与える 床に顔を突っ伏したまま、少しだけ動かして、やっとの思いで彼の姿を瞳に中に捕まえた 「そうだよね?呼ばれたら、俺と目を合わせる約束だもんね」 そう 名前を呼ばれたら目を合わせる...”やくそく” ...やくそくってなぁに? 「約束なんていってもわかんないか」 ため息を吐きながらしゃがみ込んでユウの首輪を掴んで起き上がらせるとそのまま壁にもたれさせた 「はぁ...」 一つ息を吐くたびに痛みがお腹に響いてそれがまた辛い 「ユウ....痛い?」 痛いは痛くない 「怖いの?」 怖いは怖くない 「俺が好き?」 ”好き” ユウの瞳からぽろぽろと涙が溢れ出た 「泣いてちゃ分かんない、好き?」 体が痛くて痛くて、仕方なくて全然動かせなくなっていたけれどかろうじて残った力でゆっくり首を縦におろした それはユウの本心 ”好きなの”   その言葉が言えればいいのに どうして自分は彼やあの人みたいにお話をしたりすることができないんだろう 「分ればもういいよ、怪我したところ手当てしてあげる」 立てないユウを彼は抱えて立ち上がった 彼に縋りつくこともできないまま腕がダラリと垂れる 抱きかかえた彼の胸にユウは頬をよせると、それまで突き刺さっていた針のような痛みが消えていく気がした 彼が触れると消えていく痛み ユウはそのまま彼の腕の中で気を失ってしまっていた

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