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共同生活*

「ぅう...んぅ...んん...」 「もっと口開けて?ほら....開けろって」 喉奥までいっぱいなのに彼はそれ以上に侵入を試みようとユウの頭を押さえつけた 「あー...やばい...いきそうっ..このまま出していい?」 聞かれても答えられるはずもなく、そもそもユウには選択権などありはしないのだ 口の中で一際大きくなって破裂するように喉元に注ぎ込まれる精液を一つ残らず受けとめる いつもなら、すべてをそのままの勢いに任せて飲み込んでしまえばいい けれど、ユウはそれができなかった 口の中で生暖かい液体を含んで頬を膨らませたまま彼を見つめて答えを探していた 上目遣いの目はやがて苦しくて涙がたまり霞んでいく なぜ、ユウがいつもと同じことができないのか それは先日、椎名のモノを彼に言われて奉仕した際、放たれたものを飲み込もうとして、彼に止められた 抱きかかえて、口の中を何度もゆすがされて一滴も残さず吐きだした 指を喉に入れられて何度も何度も確認して「えらい、えらい、」とほめられた いつもの決められていたことが少しでも変わると途端にわからなくなってしまう なぜいいのか、なぜだめなのか、「誰が」とか「誰に」とか、ユウには理解できないのだ そもそも、椎名がここにやって来るまで彼と二人きりだった 彼がいないときは一人だったのに、椎名が来てから、二人になって、白い部屋には行かなくなった 小さなことではあるが、ユウにとっては、まるですべてが変わってしまったかのようで、混乱する気持ちがいつも胸のどこかにあった 誰かがそばにいてくれているのはうれしい 遊んでくれるのはうれしい けれどあの人が来てから彼は怒ってばかりいる なぜなのか分らない....でもきっと自分が何かを間違えているんだと思う だって彼はいつも正しいのだから もう一度教えてほしい  また頑張って覚えるから...ちゃんと覚えるからもっと自分を好きになって? ...だけどユウはそれを伝える術を持ち合わせていない 「お前何してんの?」 口いっぱいにした顔を彼は冷たい目で見降ろしている 口を開けると途端に零れてしまいそうで、唇だけは固く結んで瞬きだけ何度も繰り返した 「さっさと飲み込めよ」 首輪を掴んで無理やり彼のもとに引き寄せられた拍子に、口の中身は喉の奥にずるりと流れた しかし、驚いてほんの少しだけ開いてしまった唇の端から青白い一筋が零れ、ユウの手の甲にポタ リと落ちた ユウはそれを見たとき、自分の手がカタカタ震えていくのが分かった その震えをまるで止めるように彼の手が自分の手を包んで重なっても、顔をあげることができない 「ユウ」 名前を呼ばれたのに目線の先には座りこんだ自分の太ももが映る ...目が合えば、それが始まってしまうのが分かっているから

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