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約束

「誕生日だけじゃなくて...クリスマスとか正月とか?ユウの知らない事いっぱい教えてあげる」 あらたまった話し方に少し戸惑いながらユウは一生懸命にミツルの言葉を理解しようとしていた 少しでも分かるように、一つでも知っている言葉があるように真剣にミツルの言葉に耳を傾ける 「本当はね、もっと楽しい事っていっぱいあるんだよ」 時々目を伏せたりしながらミツルはゆっくりできるだけ簡単な言葉で話して聞かせる 「ユウが望むならなんでもしてあげるから」 それはゆっくりゆっくりユウの心に降りていった 降り積もった雪が溶けて染み込んでいくように 意味を理解できたわけではなかった 握られた手の暖かさ、優しい声色、自分が映る彼の瞳 「好きだよ、ユウ、ずっと一緒にいようね」 「.....」 「え...えっ...どうしたの?!ユウ」 「...?」 ミツルが戸惑いながらユウの頬に触れた ユウは目の前でミツルがあたふたしているのが不思議で仕方なかった ユウは気づかなかった いつの間にか涙を流していたことを 悲しくないのに涙が出てしまう理由はわからない 「どうしよう、先生!ユウ、どっか痛いのかな...」 心配そうにミツルはユウが流した涙を拭ってやる それでも後から後からポロポロと流れて止まらなかった そんな二人を見ていた椎名が口を開いた 「心配ないよ、みつるくん」 クスクス笑いながら二人の肩を抱いて言った 「嬉しかったんじゃないのかなぁ、ユウくん」 「え...?」 「大好きな君が優しくてうれしいんだと思うよ、言葉がわからなくても伝わるんだよ」 そして椎名はユウとミツルの手から小指を摘んで2人の意思とは関係なくその指を絡ませる 「ユウくんに約束してしてあげて?もうひどいことしないって」

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