126 / 445

約束

「んー!」 それでもユウはミツルに抱きつきたくて必死に腕を伸ばしている 近づいてくるユウを抑えるためにミツルの両手は塞がってしまい着替えることすらままならない 「だーかーらー、やめろっていってんの」 完全に目が覚めてしまったユウはまるで遊んで欲しいかのように手を伸ばしてくる ミツルの態度が良いように変わってからまだほんの数日 それでも気のせいかずいぶんユウは甘えたになってしまったようだ 無条件に抱きしめてもらえる事、遊んでもらえる事、 知ってしまえば求めずにはいられなくなっていた 「もう終わり、寝るよ」 ミツルは相手にしないでやっとの思いで服を着てユウを無理やりベットの中に押し込んだ その隣に寄り添うように横になるとユウは当たり前のように腕の中に収まってくる 首元にユウの髪が触ってくすぐったい 「んぁ...」 なにか言っているけど、ミツルはほったらかして目を閉じる そのまま寝てしまえれば楽でいい そんなミツルの思惑とは別にユウは狭い腕の中でもぞもぞと身体を動かした ペロッ... 首筋に生暖かい感触がする ミツルはそれでも無視し続けていると ちゅっ...ちゅっ... と今度はそれに混じってリップ音まで聞こえてくる ミツルはユウの肩を掴んでほんの少しだけ力を入れた 「お前、いいかげんにしろよ?」 「あ...」 さっきまでの笑顔は一瞬で消えてユウは顔を布団の中に埋めてしまった 叱られたユウはそのまま体を反転させてミツルに背中を向けてしまう ギュッと自分の手を握って小さく呼吸を繰り返していた 「ユウ?」 強く言いすぎたかな...とミツルがその肩に触れるとカタカタと震えだして小さく丸まってしまった 「ユーウ?ごめんね?」 起き上がって覆いかぶさるようにしながらそっぽを向いてしまったユウの機嫌を取りに行くと案の定、目に涙をためている あぁ...また泣かせてしまった ミツルは自分にうんざりしてため息をつくとユウは自分にため息をつかれたと思ってますます青くなってしまう 「ユウ、泣くなよ?ごめんな」 そういって涙を指で掬って手の甲で頬を擦ってやった 「ふっ...うぅ...」 慰めるつもりで触っても結局泣かせることになってどうすればいいのか分からない 「泣くなら今すぐここから出ろ」といえばたぶんピタリと泣きやむだろう だけどそれでは意味がない とりあえず泣きやむまで髪を撫でたりしてみたけれど、どれが正解かなんて分からなかった ユウは真っ赤な目をしながらミツルに向かって舌をつきだしてくる 今までユウは許してほしい時、こうやって舌を出してキスを強請る またそれかよ...ほんの少しだけイラつく気持ちを抑えながらミツルはチュッと軽く応じてやった だけど求めているのは舌を絡める濃厚なもの ユウは自分が求められて、まだ自分が必要であると安心したいのだ 「もう...どうなっても知らねぇぞ」 ミツルは吐き捨てるようにいってその小さな舌を飲みこんでいった

ともだちにシェアしよう!