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一人になれればなんだって良かった 汚くても狭くても...一人になれればそれでいい 決めたアパートは1Kのくそ狭いアパート 築数もそれなりのオンボロだったけど寝られればどこでも良くて家賃はできるだけ安い方が良かった 多少の着替えをつめただけのバック一つで俺は一人暮らしを始めた 部屋に置いたのはテレビと布団だけ ほかは備え付けの小さな冷蔵庫があったしなんだか事足りてしまった がらんとして何もないけど俺だけの空間 本当に求めていたものはこれだったんじゃないかと思えた 生活の基盤はアルバイトだったから居酒屋だったりコンビニだったり苦手な人付き合いもなんとかこなして働いた 確実に金が必要だと、いい年こいてバイトしかできないようなクズにこき使われようと理不尽な注文をふっかけてくる客がいようとも我慢できた それでも両親は心配して毎月十分すぎるほどの仕送りをしてくれた だけどそれを使うのはなんだか悔しくてそんな気持ちも働く意欲になっていたのかもしれない どんなに遅く帰っても先生が言っていたような”さみしい”にはならなかった そんな俺にとっては最高だった一人暮らしにも一つだけ難点があった それは壁が薄いことだった 安いから仕方ないとはいえ夜中に階段を上がる音や人の笑い声なんかも聞こえてくる そして一番よく聞こえたのはガキの泣き声とキンキン声の女の怒鳴り声 おそらくそれは隣の部屋 なぜならほかの人の話し声よりも会話が聞き取れるほど近くで聞こえてくるからだ

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