食事が終わりミツルとユウはいつものように風呂に入った いつものように泡を浮かべては喜ぶ姿がそこにはあり、ミツルはユウがのぼせないように気をつけてお風呂から上がる際には必ず小指をつなぐ 「また明日もやろうね」 そうすれば終わりを嫌がるユウは決まって笑顔になった **** 「もうちょっとだからじっとして？」 ドライヤーの熱を当てながら傷みのないサラサラの髪を梳いていく 後頭部まで乾かしてあげたいのに向かい合ったユウはしきりにミツルは見上げてしまうため手が届かない 思ったより時間がかかってしまい乾かし終わると、もうすっかり夜遅くなってしまっていた 「もう寝よっか？」 ミツルがユウに微笑みかけると意味を理解したように立ち上がり彼の手をひいて寝室へ向かう 自ら寝室へ向かうこと、彼とベットで休むこと これらはもうユウにとって当たり前になっていた ユウはベットに飛び乗るようにして上がると彼に向って手を広げる 膝を立てた状態のユウの間を割り入るように彼はベットに上がって抱きしめるとユウはそれに答えるように彼の背中に手を回した 「ほらほら、もう寝るよ」 ギュッとしたあともなかなか離れたがらないユウの頭をポンポンと撫でるとユウが急に思いついたように自分の髪を抓んだ 抓んで彼に見せるようにして上目づかいに目をぱちぱちとさせる 「なぁに？」 最近のユウは知らないものを手に取っては瞬きを繰り返すようになった それは”この名前を教えて？”と訴えているということをミツルは最近分かるようになってきた だからユウがそれを知りたがっていると分かることができ、またそれが本当はまだ構ってほしいがゆえにしていることも理解することができた 「もう...しょうがないなぁ、それは髪、髪の毛だよ」 呆れながらも嬉しそうにミツルは答えてユウの髪に唇を寄せた ミツルはそれから唇を滑らせてこめかみにチュッとキスをする その次は瞼にキスをして「これは目だよ」と付け加えた そのままそれは順に降りていきユウの耳や頬に触れていく 「これはユウの頬っぺた、つるつるで気持ちいいね」 時よりくすぐったいようなそぶりをみせるユウもそれをうっとりするように聞いていた 唇には舌先で舐めるように触れて「好きだよ」と囁いた 首筋から舌を這わせるように降りていくと徐々にユウの身体に鳥肌が浮いていく 鎖骨のあたりで少しだけ唇に力を入れるとうっすらと赤い華が咲いた 服の上から上半身に触れると薄い布地からでもユウの小さな突起が立ち上がっているのが分かる それを布越しに転がすとユウはピクンと腰を跳ねさせた 恥ずかしそうに、けれどその先を強請るようにミツルの胸にユウが手を添えると彼はそれを取って手の甲を口元に寄せる 「これは手だよ、ユウの手は小っちゃくてかわいいね」 指先の一本一本にキスをしながら目を細めて、「かわいい」「好きだよ」と何度も何度も繰り返した そしてユウの手の平にキスをすると「この手は俺と手を繋ぐためにあるんだよ」と笑った 繰り返される甘いキスはユウの心と体を熱して骨まで溶かしてしまいそうだった 触れていないところがないようにもっともっとキスして欲しくなって 膝を立てた自分の間に彼が顔を下ろしたときユウの胸はドキドキと音を立て始めた ...彼がたくさん聞かせてくれる言葉と同じくらい彼を好きだと言えたらいいのに 身体が火照っていく感覚を感じながら彼への思いが溢れてしまいそうで戸惑った しかし身を任せるようにしていたユウの太ももに彼が触れた時、少しだけギクリとしてしまった 何故ならば彼が太もものやけどの痕に触れたからだ 傷口はもう完全に治っていて痕はあるものの痛みはない けれど傷を負った時の痛みはまだ記憶に強く残っていて思わず身体をこわばらせてしまった ミツルはユウのそれをちゃんと理解していてクスッと笑うと「大丈夫だよ」とそこに唇を押し当てた 熱い感触と完全に消えている痛みにホッとしてユウは目を閉じた そう...大丈夫 大丈夫なのだ もう痛いことなんてないんだ 彼は”約束”をしてくれたのだから 大丈夫...大丈夫... しかしぼんやりした意識の中でふと何故か一つ、小さな疑問が沸いた 大丈夫って...何だっけ...？