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捜索に当たっていた警察から近くの総合病院にユウらしき男の子が運び込まれたという連絡が椎名達に来たのはそれからしばらくしてもう日付が変わろうとしていた頃だった
それが本当にユウ本人なのか、またその理由が事故なのか事件なのか分からないまま、2人はとにかく教えられた病院へと急いだ
夜中ということもあり、病院まではほんの数十分で到着する事ができ、連絡を受け椎名達を待っていた関係者に2人はそのまま、おそらく"ユウであろう人物"が眠る病室へと案内された
通された部屋のカーテンで仕切られたその一角
ふわりと揺れた布越しに見えた人影に椎名は思わず足が竦んでしまった
早く見つかってほしいと祈っていたはずなのに、今はその姿を見る事が怖くてたまらない
そこにいるのがユウであってユウでなければいいと願わずにはいられなかった
「マサキ、しっかりしろよ」
「....っ」
涼介の静かな声に後押しされた椎名はようやく目の前のカーテンを開ける決意をした
ベットに横たわっていたのは間違いなく"ユウ"だった
しかしそこにあったのは普段の面影など全くないほど変わり果てた姿だった
頭には包帯が巻かれ、顔はどす黒く変色し腫れ上がっている
処置のために着せ替えられた術着から見える肌は煤けたように汚れて、ところかしこに痣や擦り傷が目立つ
華奢な腕に巻かれた包帯は血で滲み、暴行がどれほど激しいものだったかを物語っていた
一体ユウの身になにがあったのだろう
ここまで酷く痛めつける理由がどこにあったのだろう
しかし椎名に湧き上がった感情はどこの誰かもわからない相手に対しての怒りよりも強い後悔だった
「ユウくん...」
どうして1人で行かせたりしたんだろう
なぜすぐに追いかけていってあげなかったんだろう
「ごめんね、ユウくん...本当にごめん」
自分の油断が引き起こした結果はあまりにも残酷で椎名はユウの身体に縋り付いてただ謝ることしかできなかった
「おい、マサキ」
いつまでそうしていたのか、涼介に呼ばれた声に椎名はハッと顔を上げた
憔悴しきった椎名はそばに涼介がいた事さえ忘れてしまっていた
涼介は言いずらそうに顔を歪めると「ミツルが来たぞ」と廊下を指差した
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