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「ただいま、あれ?ユウくんは?」 何も知らずに帰ってきた椎名がユウの姿が見えないことに首を傾げる 「今、寝てる」 ーー嘘ではなかった ユウはあの後、散々泣いて力尽きたように落ちてしまった 何をしても泣き止まなくてミツルは困り果ててしまったが、椎名が帰ってくる前になんとか寝てくれて助かった 「なんだ、せっかくプリン買ってきたのに」 残念といった風に椎名はコンビニの袋を顔の前でチラつかせる 「ねぇ、どうだった?今日...」 「心配ないよ、役所の人にあってきたけど親身になってくれそうだ」 「....」 「どうかした?」 穏やかに笑う椎名の顔を見ると、心がホッとした 椎名は自分の代わりにいろんな手続きをするために走り回ってくれている 彼にまかせておけばすべてうまく行くだろう きっと大丈夫...先生がいれば大丈夫 「先生、お願いがあるんだけど...」 「うん?」 椎名にまっすぐ見つめられた彼はそのまなざしに思わず俯いてしまった 頭では分かっているがいざ口にしようとするとやはり喉につかえてしまう そして彼は一つ深呼吸して、椎名に告げた 「ユウの事、面倒みてくれないかな」

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