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第29話

「それに、新入生をこんな短期間で参加許可すること自体が異例だからね」 「そうなんですか」 「けれど、優秀な君が参加するんだ。今は受け入れられなくても、君のことを知れば、彼等も納得するだろう」 秋月は、"俺の何を知ってるんだ"と思い、鼻で笑った。 その笑いにこの部屋の空気が一段とピリつき、秋月は思わず出てしまった自分の行為に反省した。 「先ほどは"参加して欲しい"と言われたのに、俺の参加は決定事項なんですね」 「おっと、まだ参加するかどうか決まっていなかったんだね。それは失礼。ここへ来たので、てっきり参加するものだと思っていたよ」 「いえ。俺は久我に呼ばれたので来たまでです。参加するかどうかは、グループのメンバーを見て決めようと思ってましたから」 「そうだったか」 「すみません、少しいいでしょうか」 少し小柄な生徒が、秋月と九条の会話に割り入った。 「もちろん」 九条が承諾すると、その生徒は秋月の座っているソファへ近づいた。 「秋月君、このグループに選ばれるということは、大変名誉なことだ。分かっているのか?」 「いいえ。それは知りませんでした」 秋月が、見上げて至って当たり前のように答えると、 「秋月!!」 宗太郎が、今にも胸ぐらを掴まんかのような勢いで秋月に迫った。 「宗太郎」 「しかし!!」 「宗太郎、この部屋から出る?」 「……すみませんでした」 やはり九条には逆らえないようで、宗太郎は苦々しい顔で秋月から離れた。 「えーっと…」 「一条幸繫(いちじょう ゆきしげ)だ」 「一条さん、俺は高等部からの外部生(エクステリオル)です。しかも、この学園にきて1ヶ月も経っていません。授業や校則については、ひと通り分かったつもりでいますが、流石に暗黙のルールまでは分かりません。それに、一条さんの言うように、この"グループ参加"が名誉なことだったとしても、参加するかどうかを決めるのは俺です。貴方達、いや、九条さんがと言った方がいいでしょうか。九条さんが持つのは、許可の決定権だけです」 秋月のよどみない発言に、部屋は静まりかえった。

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