2 / 2

第2話 過去から今へ

―3年前 「ごめんね遅くなって」 「ううん気にしないで奏さん」 柊弥はそう言いながら微笑む そう言ってくれると嬉しいよ。」 「そう?なら良かった。それより早く始めようよ」 柊弥は教科書とノート開き勉強し始めた。 「ただいまぁ~。」 ガヤガヤと書斎がうるさかったせいか柊弥の帰宅声は聞こえなかった。 「どうしたの父さん、母さん?」 「何でもないよ早く自分の部屋に行ってなさい。」 柊弥の姿に驚いたのか柊弥の両親は一瞬反応が遅れた。 「はい。」 自分の部屋に戻ったその時だったメイド達が話している内容が聞こえてきた。 「ねぇ知ってる?旦那様古くからのご友人に裏切られて多額の借金背よったらしいわよ!」 「それ本当!?この家どうなんのよ~」 「そんなの決まってるじゃない旦那様は男爵という地位にいたとしても男爵の中じゃ下の下よ?夜逃げするらしいわよ。」 柊弥は耳を疑ったそうなのだ柊弥の家は男爵という爵位をもってはいるがその中でも下の下に等しいのだそんな多額の借金なんて返せるわけがないのだ。助かる方法と言えば夜逃げしか無いのだ 『そんなの嫌だ、奏さんと離れ離れになるなんて絶対嫌だ夜逃げするくらいならせめて奏さんとの思い出が欲しい。』 その日の夜柊弥は声を殺しながら泣いたのだった。 次の日 「ただいま戻りました。」 まだ気持ちの整理が付いてないのか柊弥の声は小さかった。その時だった 「嫌ぁぁぁぁぁぁぁ~」 「母さん!?」 母親の叫び声が父親の書斎から聞こえてきた、部屋に入るとそこには残酷な姿が露になっていた。 「父さん?なんで?」 柊弥の目に写っていたのは自分の父親の首を吊って自殺し息を引き取った状態の亡骸が宙吊りになっていた。 その日の夜、奏は柊弥に呼び出され柊弥の部屋に入るその部屋のなかは暗かった 「柊弥?どうしたのこんな遅くに電話で呼び出して」 「僕奏さんにお願いがが有るんだ。今夜だけで良い1度だけで良いから僕を抱いて!」 「なに急にどうしたの柊弥らしくないよ」 奏は柊弥が放ったその言葉に驚き戸惑う 「これが本当の僕だよ奏さんが知らないだけで、理由は聞かないで欲しい。」 柊弥は肩を小さく震えさしながら言う。 それを聞いて理解したのか奏は 「分かった君が願うなら叶えるよ」 その日の夜柊弥奏の手によって奏の色に染まったのだった。 「奏さんありがとう、僕の願いを聞いてくれてこの温もりだけを貰います。さようなら奏さん」 柊弥は自室に奏だけを残しその日の夜柊弥の家族達は町を出たのだった。 ※※※ 日は登り障子から太陽の光が指し昇る 「あの時の事思い出しちゃった。」 「出来ればまっさらな状態で再会したかった。」 そうなのだ先日、扇桜にかつて自分の家庭教師だった雨宮奏が客として来店したのだ。 『でもあの服装公爵の爵位をの紋章だった。なんで奏が公爵の爵位を?』 柊弥は布団から身を起こし食堂に向かった 「おはようございます椿姫さん」 「おはよう菖蒲」 柊弥は椅子に座り椿姫が作った朝食を食べ始める。 「本当にありがとうございます椿姫さん」 「菖蒲どうした?顔色が悪いぞ。」 椿姫はそう言いながら柊弥の顔を伺う 「大丈夫ですよただ懐かしい夢を見ただけですって。」 と懐かしむように昔の出来事に浸る 「っとそういえば今日は休みなんだよな菖蒲?」 「はい、久々の休日だから墓参りに行こうかなって行けなかったですから。」 「今日はゆっくりしていけば良いんじゃないか?」 「そうですね、でも夜にはちゃんと戻ってきますよ。」 椿姫と菖蒲はそう言って笑い合う ※※※※※※ 「へぇ~奇遇だね、俺もあの日からあんたを恨んでる今も昔もずっとな。」 奏は自室で昨日言われた言葉を思い出していた『どうして柊弥はあんなことを言ったんだ?この3年間で柊弥の身に何かあったのか?』 とそう考えていた時だった 「奏さん、主人があなたを読んでますよ。」 「はい分かりましたそちらに向かいます。」 奏はそう言って本を閉じ主人の書斎へ向かった 「伯父さんどうしたんですか?話って何ですか?」 「綾崎の子供に聞いたんだが奏が探してたこが見つかったとか本当かい?」 伯父は不思議に質問した 「えぇまぁ見つけはしましたが……」 柊弥に言われた言葉を思い出して落ち込む 「それだけなんだ呼んだのは。」 「はぁ~それじゃぁ戻りすね。」 奏は書斎のドアを閉めた 時は静かに過ぎていき夕刻に近い時奏の手に1通の手紙が届いた綾崎が奏に宛てたものだ 「“深夜 家の者を遣わす今宵も扇桜来られし 綾崎 伊織”」 その後すぐに綾崎の家の者に連れられて奏は扇桜に入った 「全く待たせ過ぎだぞ雨宮。」 「すまないな。」 奏綾崎の座っている真向かいの席に座った 「菖蒲はどうしたんだい?」 「あの子は今日休みだから両親の墓参りに行ってるよ。」 「墓参り!?あの子は今独りなのか?」 柊弥が独りであることに驚きを隠せない奏だったのだ         おわり

ともだちにシェアしよう!