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6. めぐる季節
「セラっ……ああ、だめっ――」
ニソルのほっそりとした脚の間からセラが顔を上げた。
「だめ? どうして?」
「は、はずかしいんだ……」
両手で顔を覆うニソルをセラが不思議そうな顔で見つめる。
「どこもはずかしくないよ。いつだってニソルのここは本当にきれいだ。一生懸命立ち上がって震えている。どんどん露が溢れてきて――」
「セラっ!」
真っ赤な顔で叫んだあと、「もう、いいから……」とつぶやく。セラはくすりと笑ってふたたび顔をうずめた。
「ああっ!」
セラの長い指がニソルの中に侵入する。押し拡げるように動かすたびにニソルの口から甘い声が漏れる。
「はぁっ、あ、あ、ああっ」
「ニソル、きもちいい?」
「んっ、きもち、いい――」
「よかった。こうして触れるのはまだ三度目だから、もっとやわらかくほぐそう。そのほうが君が苦しくなくなる」
そう言いながらセラは指を増やし、ニソルの内側を探っていく。同時に立ち上がったニソルの茎を口にふくんで上下に扱く。
「んああっ、セラ――あっ、ああああっ!」
大きく跳ねたニソルの腿をやさしく押さえる。こくりと喉を鳴らしてセラは身体を起こした。
「ニソル、ニソル」
肩で息をするニソルの頭をなで、目じりに口づけを落とす。
「君が言っていたことは本当?」
「……言っていたことって?」
「『僕はいつまでも彼のそばにいたい』『一年にたった一夜でも触れ合いたいと思うのは彼だけだ』って」
「……!」
ニソルはこれ以上ないほど、耳の端まで真っ赤になって固まった。「それも、聴こえてたんだ……」とかぼそい声でつぶやく。
「ニソル」
不安げに瞳をのぞき込むセラにニソルが応える。
「本当だよ。さっきも言ったでしょう? 僕はもう、君だけのものだって」
だから、お願い――
ニソルは恥じらいながらセラを受け入れる場所を拡げてみせた。
「ニソル、私の可愛いニソル――」
「あん、あああっ」
かつてはおぼろげな意識の中で行われた交合が、今はニソルの身体を明らかに震わせている。口づけを交わすたびに甘い蜜が注ぎこまれ、指先まで痺れるような「きもちいい」感覚に襲われる。
「セラ、あっ、あつい……」
セラはニソルの中を何度も突き、奥のほうまで拡げていく。セラのすべてをニソルが受け止めることができるように。ニソルの内側はどんどんやわらかくなり、セラを飲みこもうと自らうごめきだす。
「ニソル、ずっと私と一緒にいてくれ」
少し苦しげな表情でセラが訴えた。ニソルは何度も頷く。
「僕も、君と一緒にいたいっ……こうして逢えるのは一夜でも、ずっと、ずっとそばに――」
ニソルの奥でセラの命のカケラが弾ける。同時に透明の露をこぼし続けていたニソルの先端からも白濁が飛び出した。セラはそのすべてを丁寧に舐めとり、がくがくと震えるニソルを抱きしめる。
「ニソル、君は不思議な子だ……私が<記憶>を繋いでいられるのも、君の力なのだろうか――」
ニソルの頭をやさしくなでながら、セラはひとり言のようにつぶやいた。また唇を重ねて蜜を流しこむ。ニソルは無意識に喉を上下させて飲みこんだ。
「ん……セラ……?」
「ニソル、夜はまだ明けないよ」
ニソルは驚いたように目をみはり、すぐにとろけるような笑顔になった。
「じゃあ、まだ君とこうしていられるね」
「うん」
セラはニソルの身体を抱き起こし、首に腕を回させた。ニソルは甘い吐息をもらしながら、自分で身体をゆすり始める。
「はあっ、あん、あ、セラ、大好き――」
「私も大好きだ、ニソル――」
*
うつ伏せてぐっすりと眠るニソルの背中に、セラが指先でそっと触れる。
「セ、ラ……」
ニソルの寝言にセラはほほえみ、静かに立ち上がる。
空が明るみはじめ、地平線の彼方から太陽が顔を出す。増していく光の中にセラの姿が融けていく。
窓から白い朝日が差し込んだ瞬間、ニソルの背中で大きな六枚の羽が広がった。虹色に透けるそれはすぐに消え、ニソルはおだやかな顔を見せて寝がえりをうつ。
ニソルの姿を見守っていた黄色の花は、ゆっくりと花びらを閉じていった。
季節はめぐる。森は秋の豊かな実りに感謝して、静かな眠りの冬を迎える。芽吹きの春を祝い踊れば、また二人が出逢う夜が、きっとすぐにやってくる。
~Fin~
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