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17 気付いた康介

 ライブの後から何度か電話をしてみたけど、竜は全然でてくれなかった。きっと悩んでいるんだろう。電話に出てくれないけど、このまま放っておくわけにもいかず、余計なお世話かもしれないけど俺は日曜日に竜の家に押しかけた。    案の定どんよりした顔の竜。見るからに辛そうだった。 「大丈夫か? 周さんのことだろ? 俺、聞くよ」  俺がそう言うと、少しの沈黙の後、竜は話し始めてくれた。  周さんと初めて会った時のこと。  楽屋で抱き寄せられた時のこと。  肩を組まれて歩いた時のこと。  打ち上げでのこと。  初めてキスをした時のこと……  正直、俺は驚いた。竜が経験した出来事を、ちょっとぎこちなく、それでも頬を赤らめ興奮し、口調が強くなったりもじもじしたり、表情変えて一生懸命話してくれた。竜がこんなに感情的に話をするなんて、今までの竜とは全然違う。凄くキラキラして、嬉しそうにも見えた。  気付いたら、俺は竜を抱きしめていた。  竜は周さんに出会って凄い変わった。出会ったばっかなのに竜がこんな風になったのは周さんのせいなんだと確信した。自分から他人に興味を持って、驚くほど表情が豊かになった。こんな顔をしてる竜を初めて見た。  嬉しい! そして凄い愛おしい!  何故だか「良かったな!」という感情が湧き上がった。

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