周さんに、おんぶしてもらっちゃった！　まさかおんぶなんてしてもらえると思わないから嬉しくてすぐに乗ってしまった。重たくないよね？　僕は体重は軽い方だし周さん体が大きいからきっと力もあるよね？　でも少しは遠慮したほうがよかったのかな。 　康介がチラチラとこちらを見ている。あまりお喋りはしてないけど、僕は楽しくてしょうがなかった。 「あ、周さん！　うちそこです」 　あっという間に家に到着。学校から僕の怪我のことの連絡があったのか、母さんが心配しながらパタパタと玄関まで出迎えてくれた。 「竜太、おかえり！　足、怪我したんだっ……って？」 　母さんが僕を見て固まった。きっと初めて見る周さんに驚いているんだろう。そう、周さん大きいし、髪型も結構派手だからびっくりするのわかるよ。僕だって最初はちょっとびっくりしたもん。突き飛ばされたし。 　周さんは僕をおんぶしたまま、玄関に入った。 「こんにちは。橘周と言います。竜太君と同じ高校の二年です。竜太君、足が痛そうだったので康介君と一緒に送ってきました」 　意外にもとても丁寧に周さんは母さんに挨拶をした。母さんはハッとして、笑顔で周さんと康介にお礼を言った。 　とりあえず、送ってくれた周さんと康介には家に上がってもらうことにして、母さんがお茶を僕の部屋まで持って来てくれた。「どうぞごゆっくり」なんて言いながら、にこやかに部屋から出て行った母さんはすごく機嫌が良さそうだった。また怪我しただのグチグチと言われるかなと思っていたけど、これならきっと大丈夫そうだ。