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23 訳わからねえ/康介のぼやき
今日は部活の助っ人も頼まれてないし、竜も足が辛そうだから家まで送ろうと支度をしてたら、なんとびっくり! 周さんが教室に押しかけて来た。竜に用があるのは百も承知。でもクラスの奴らはそんなことわからないからファンも含めて大いに騒ついていた。
周さんは竜の姿を見つけると真っ直ぐこっちに向かって来る。俺なんか目に入ってないようで、竜の前にデンと立つと「送ってやる」なんて言いだした。クラスの奴らも俺も呆然として周さんに注目している。突然だし、ここは一年の教室だし、あの周さんだし……
竜も驚いた様子だったけど、でもやっぱり嬉しそうな顔をして周さんのことを見ていた。
なぜか周さんは竜が怪我をしているのを知っている様子で、肩を貸すなんて言いだすから更ににびっくり! どう見たってその身長差じゃ無理だろ! と突っ込みたいところをグッと堪えていたら、竜がそのまま俺の思ったことを言ってしまった。この何も考えてないのか、言い方ってもんがあるだろ? 怖いもの知らずか! びっくりだよ! 竜は周さんの親切に笑いながら「無理」と言ってのけ、おまけに康介がいるから大丈夫だなんて……ほら見ろ、俺凄え周さんに睨まれた。
「すみません……」
ほんと、なんで俺が謝らなきゃいけねえんだよ。竜のバカ。
結果、三人で帰る事になった。
校門を出てしばらく歩いていると、俺の肩を借りながら歩いている竜にイライラしたのか、周さんは竜をおんぶすると言い出した。子どもじゃねえんだし、おんぶだなんて冗談だろ? なんて思っていたら、竜は躊躇いもなく、寧ろ嬉々として周さんの背中に身を預けた。
マジか……
恥ずかしいのは俺だけか?
周さんの背中に乗り楽しそうな竜を見て、俺の付き添いなんていらないんじゃね? と頭を過ぎったけど、取り敢えず帰る方向は一緒なのでしょうがないから一緒に帰った。
絶対周さん、俺のこと邪魔だと思ってるよな。
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