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修斗の心配

土曜日は康介君とデートが出来て、プレゼントも渡せて嬉しかった。 揶揄い甲斐のある面白い奴…… それから気になる存在に変化した。 気がついたら好きになってた── きっとこれは友達としての「好き」じゃないと思う。 康介君は、ライブに来てくれた時からファンだと言って初めから好意を持ってくれてたと思うんだ。でも最近は俺の事を意識してくれてるんじゃないかなって思う。 自惚れかな…… でも好意を持ってくれてるのは確か。その「好き」が俺の思う「好き」と同じ種類かどうかは知らない。同じだったら嬉しいって思う。 月曜日── プレゼントしたピアスをつけてきてくれてるか気になってしょうがなかった。昼に屋上に行けば会えるだろうと行ってみる。お天気の日には竜太君と屋上でお昼食べてるから、きっと会えると思ったんだ。 そう思ったのに、この日は誰も来なかった。 つまんねえな… …と思いながら、俺はひとりぼんやりと過ごした。 火曜日── この日は朝から偏頭痛に襲われ絶不調。昨日一日康介君と会えなかったからか、なんとなく気持ちも沈んだ。 昨晩は電話しても繋がらないし、メールも返信がこなかった。 ちょっと面白くなく、保健室のベッドを借りてゴロゴロと過ごした。 もう一度、改めて康介君にメールするも、やっぱり返事は来ない。そのうちに頭痛薬のせいか眠たくなってしまい。しばらくの間眠った。 (……今度の休みは? うん、俺オフだしいいよ……ん? いいじゃん……ふふっ ) 誰かの声でふと目が覚める。コソコソと何かを喋っているけど俺がここにいるのわかってないのかな? すぐに志音だと気が付いたけど、話している相手が高坂先生だから興味が湧いた。 (……じゃ、気が向いたら行くよ。……あ! お前、学校であんまりこういう話すんなよ。んっ ) ああ……最後は軽いリップ音まで聞こえちゃったよ? 大丈夫? それにしてもいつのまにそんな関係になってんだ? 全く、ここにいたのが俺でよかったよ…… 全くどいつもこいつも。でもラブラブな感じ、羨ましいな。 ベッドから出て声をかけようと思ったら、ちょうど竜太君が保健室に入ってきた。 「志音、一緒に帰ろう」 カーテンの向こうに明るい声が聞こえてくる。 もう下校時間だったんだ…… 俺は結局、一日中ここにいちゃったな。 カーテンの向こうに声をかけながら俺はベッドから這い出した。 「先生、いちゃいちゃ終わったの?」 高坂先生を少し揶揄ってみるも、あっさりと「いちゃいちゃなんてしてません」と言われ、つまんねえなと思いながら帰り支度をする。少しくらいは動揺したっていいだろうが。 康介君のことを思い出し、もう一度携帯を確認してみたけどやっぱり返信は来ていなかった。 もしかして俺……また気づかないうちに何かやらかしたかな? 何か怒らせた? ちょっと不安になり、竜太君に聞いてみたら康介君は今日は学校を休んでると教えてくれた。 でも竜太君の言う通り、康介君が学校を休むのって珍しいよな。 竜太君はなにか思うところがあるのか急に不安そうな顔をして康介君に電話をかけた。

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