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康介の「ご褒美」は

みんなが注目する中、俺は康介君に耳を傾ける。内緒話するように俺は耳を寄せて言葉を待った。 ……少しドキドキする。 真っ赤な顔して顔を寄せて、まわりに聞かれないように極々小さな声でこう言ったんだ。 (俺の事……「康介」って呼び捨てにして下さい……) 驚いた! これを言うのにこんなに赤くなって緊張して…… たかだか呼び方くらいでって思うかもしれないけど、きっとこいつにとっては凄い大事なことなんだな。 どんだけ可愛いんだよ! こんな事、サラッと言っちゃえばどうってことないのに…… 康介らしいな。 それからは、周や陽介さんにからかわれ続けて酒のペースが上がっていく。 俺はもう、康介が可愛くて愛おしくて…… 嬉しくてしょうがなかった。 ニヤニヤしちゃってたら竜太君と目が合い、見透かされてるようで恥ずかしくなった。 実際さ、「康介」って呼び始めたらなんか照れ臭くて困ってしまう。 康介も顔が赤いし、勘弁してくれよ…… 俺まで顔が熱くなる。 参ったな。

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