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気持ちはぽっかぽか

陽介さんと圭さんとも合流し、またみんなで何に並ぶか思案中。周さんは観覧車以外は乗らない! とベンチに座ってふんぞり返っている。僕も正直、腰が痛くて乗り物どころじゃないかもしれない。 「竜太君はさ、周に腰砕けにされて乗り物乗れないんじゃないの? いいよー、俺たちだけで行こうぜ 」 少し意地悪く修斗さんがみんなにそう言って周さんに怒鳴られる。修斗さんはテヘッと肩を竦めて康介と並んで歩き始めた。 「竜太君は周と一緒にベンチで待っててね」 圭さんがベンチまで肩を貸してくれて僕をそこに座らせてくれた。 「すみません……ほんと体調悪くて…… 」 なんとなく後ろめたい気持ちで陽介さんと圭さんにそう言って、僕も周さんと座って待つことにした。 四人はしばらくワイワイと話していたけど、結局目の前の大型のコースターに並び始める。 あれ……凄そうだな。さっき見たけど、レールの角度がえぐれてた。轟音と共に、乗っている人達の歓声が頭上から降ってくる。 みんなが乗ってるところ、ここから見られるかもしれないと思ったらちょっとワクワクした。 少し陽も暮れて、ジッと座ってるだけだと足元からじんわりと冷えてくる。 無意識に自分の両足をこすり合わせ貧乏揺すりみたいになっていると、周さんの手が僕の手を掴んでポケットに入れてくれた。 「 ……寒いだろ? でもこれならあったかい」 僕の顔も見ずに周さんが小さな声で呟く。僕は嬉しくて、周さんに少しだけ寄りかかるように体を預けた。 周さんのポケットの中で絡まる指先一本一本に愛情を感じる。そして会話がなくても、お互いを感じ合い穏やかな気持ちになっていく。 「……周さん?」 僕が小さな声で周さんを呼ぶと「ん?」という顔で僕の方を見た。 「呼んでみただけです 」 そう言うと、周さんはフッと笑って僕の手をギュッと握った。 気分はもうぽっかぽかだ…… 「あ……みんな戻ってきた」 周さんがポツリと呟いた。前方を見ると、四人が賑やかに歩いている。 「凄かった! 超楽しい!」 修斗さんは相変わらず元気で楽しそう。 「聞いて聞いて! 康介ってば、怖いからって俺に……」 「しゅーとさんっ‼︎‼︎ 黙って!」 康介がヘロヘロになりながら修斗さんにしがみ付いて慌てて口を塞いでいる。 なんだかんだ言って仲が良さそうで微笑ましいんだよね。 「じゃあ最後の〆に観覧車にでも乗りに行くか 」 圭さんがそう言うと、みんなでまた歩き出した。

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