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第77話
満足した頃には日はとっぷり暮れていて、身体もあちこち痛くて動くのがなかなかしんどい。
卒業式当日に彼氏の家にお泊まりはさすがに許して貰えないだろう……
困ってしまい、詩に連絡したら泣かれちゃった。
あはは。
泣いた詩も可愛い~!なんてね!
……だってあいちゃんがすっごい元気で、なかなか離してくれなかったんだもの。
兄さん家まで送ってくれた我に返ったおじさんはとっても反省していたし、オロオロと凄い誤っていたけど、不思議と兄さんには怒られなかった。
「霖が!霖が~っ!!大人に~〜!!!!」
そう詩は叫んで泣いてたけどさ、詩?僕セックスは今回が初めてじゃないよ?
……
だけど、今回が初体験ということでもいいかも。
だってこんなに満たされたの今までなかったから。そう思うと過去の経験なんてなかったも同然だと思った。
「ね、詩さぁ……詩は、初体験いつ?」
「え」
「兄さんが初めての人?」
「え」
「セックスの相手だよ。聞いてる?」
「セ、セ、セ……!!」
「霖、こいつにそういう露骨な質問はやめろ」
「えー兄さんだっていつも詩が困るようなこと言ってるじゃん〜」
「俺はいいんだよ」
「うわっ!それムカつく〜!詩と二人っきりの時に聞くからいいよ。ね、あいちゃ〜ん」
「え、なんで俺にふるんだ!」
「……とりあえず、今夜はうちに泊めてやる。家には連絡しておいた。……母さんがそれ見たらさすが面倒なことになりそうだからな」
そう兄さんが言いながら僕のシャツの襟を引っ張った。
引っ張らなくても見えている、首筋に残る痣の数々……
キスマークは身体中についてます!
「はぁ……つけすぎだ……」
「す、すみませんっ!」
凍りつくようなため息をつく兄さんと、蒼白顔で平謝りするあいちゃん、そして顔を真っ赤にしてガン見してる詩……
「じゃ僕、今夜は詩に添い寝して貰おうかなぁ〜」
ぎゅっと詩に抱きつくと、
「「こら!霖!!」」
と、おじさん二人から怒られてしまった。
……もう心の狭いおじさん達だなぁ〜
「詩はね特別なんだよ!知ってるでしょ!僕の大事な人なんだからね!疲れた身体を癒してもらうんだから!」
「霖……く、苦しい……」
「だからと言って抱きつくな……うちじゃなくて家に帰るか?」
「…………か、帰らない……帰りません」
兄さんの悪魔!そう思いながらそっと詩から離れ、あいちゃんに抱きつく。
……うぅあったかい……
「ふんっ……」
「詩さんが霖にとって特別なのはわかっているけどな……ま、疲れてるから癒して貰いなさい」
「……あ、あいちゃん……さすがぁ!わかってるー!大好きっ!!」
頭を撫でてくれ、優しい言葉をかけてくれた恋人に胸きゅんしてしまった。
(……無表情の兄さんは無視だ無視!
あいちゃんと別れた後は寂しくなるけれど、詩がいてくれるとホッとする。詩の柔らかな笑顔は僕を落ち着かせ穏やかな気持ちにさせてくれるんだ。
本当……大好きだぁ……
「あったかい美味しいの作るから、早くうちに入ろう」
「……今夜は鍋だ」
「霧緒リクエストの鶏団子鍋だよ〜」
「美味いからな」
「へへへ」
……
相変わらず仲いいなぁ……この二人は。
あんな無表情兄さんも、詩といると表情があるし優しい……愛されてるなぁ詩って。
何より兄さんと話している詩が可愛い……うわぁ……あんな風にふにって笑ってたんだぁ……尊いよ!詩!
以前は兄さんの存在自体をあんなに嫌がってたのに、最近はそうでもない。
何か冷静に二人のことを見れるようになった気がする……
あはは……
僕、少し大人になったのかな?
イライラすることもなくなって、気持ちが安定しているのは、きっとあいちゃんのおかげなんだろうな。
身体は色々痛いけど幸せだ。
これからはあいちゃんにいっぱいいっぱい甘えよう。呆れるくらいわがまま言ってやるんだ。
それで目の前の二人に負けないくらいラブラブになってやる。
ね、あいちゃん!大好きだよー!
これからも離さないからね!
いっぱい愛し合おうね!!
宮ノ内 霖と愛されウタくン。
おしまい。
ありがとうございました!
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