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第21話
中side
あの日は大雨だった…
部活が終わって下校してた時大きな音が背後でした
振り返るとトレーラーが横転していた。
雨で路面が滑り曲がりきれなかったんだろう…
あ…これは…まずいかも…
トレーラーに積まれたコンテナが倒れてくる…俺の方へ
あまりのことに足が動かなかった
「ばかやろう!!死にたいのか!!」
急に体に衝撃が走り罵声を浴びせられた。
…知らない男の人が俺のことを助けてくれていた。
凄く怒っているその人の真剣な眼差しに吸い込まれそう…
あまりにも綺麗な人だった。彼の瞳に魅入られた…一目惚れ…突如やって来たその思いに戸惑う。
決して体が大きいわけではないのに自分よりでかい俺を必死に助けてくれてた
「大丈夫か!?怪我ないか?」
自分はノーマルだと思っていた…いつか好きな女の子と出会ってそして子供が生まれて…そんな普通の人生を送ると信じて疑わなかった…
それなのに…たまらなく…この人が欲しい…無言で見つめていたらその人が更に言葉を紡いだ
「…」
「おい。呆けてるな…念のため病院に行けよ。じゃあな」
「あの…ありがとう…お礼がしたいのでお名前を…」
どうにか彼と繋がりたくて精一杯言葉を紡ぐ…でも…
「そんなんいらない。じゃあな」
颯爽と去っていく後ろ姿…あぁ…始めることも許されなかった…だったらその姿を…命の恩人の姿を目に焼き付けておこう…そう思い瞳を閉じた
それから数日。あの人を見つけた。小柄な可愛らしい人と幸せそうに歩いてた…
あぁ。あの人のことを彼は好きなんだな。
制服を着て二人で楽しそうに歩いてる。その姿を目で追う。
そしたらもう一人イケメンがやって来た
その人を見た瞬間小柄な人が目を輝かせた…
この人はあの人が好きなんだ…あんなに綺麗な人が隣にいるのに…あんなに愛しそうに見ているのに…
何故気付かない…何て…残酷…彼に自分を重ねてしまう。
そういえばあの制服…この辺りの高校では珍しいデザイン。
あれが着たくてレベルの高いそこを目指す人も多い。
あの人が何年生なのかわからないけれど何か彼と同じものを…そしてそこを目指すことにした
それから必死に勉強をした。俺の頭じゃ相当難しかったから。あと数ヵ月しかない…頑張らないと…
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