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第80話
「おはよ」
「おはよ。中」
「こうは?」
「あぁ…えっと…」
「話せた?」
「うん」
「…やりすぎた?」
「え?」
「ここ。痕付いてるよ」
中がトントンと指差した場所…何だろう?首をかしげたらそっと鏡が手渡された。クラスの子らしいが名前すらわからない。それを受け取り見てみると首筋にいくつもの鬱血痕がついてた
「あ…」
「気付かなかったの?」
「…必死だったから…」
「こう休み?」
「あ…うん」
「仲直り?した途端やり過ぎ…まぁ…でも良かった…こうはお前以外考えられないって泣いてたから…どんな事されてもお前なしじゃ生きていけないんだって」
「…俺も…」
「お互いそんな状態でよくお前は別れようなんて思えたね」
「だって…中への謝罪…いくら言葉にしても足りないから…俺が死ぬほど嫌なことしなきゃって…思ったから…」
中はニコリと笑うと俺を撫でる。
「ばーか…俺もさ…結局お前の事恨めないし好きだからね。だって本当はお前はいい奴だって俺は知ってるから。こうのこと頼むな。」
「うん」
「俺確かに辛かったけど…でもね、ある意味そのお陰でさ雪割先輩と一緒にいられる時間増えたから感謝しねぇとならないかも。あの人優しいから…ボロボロになった俺を放っておけないみたいで…今日も一緒に登校してくれた…前より連絡してくれるようになった…だから…結果オーライ?かな」
「そう…」
そんなこと言ったって傷は消えない…だから…俺はお前に一生掛けて誠心誠意尽くすから…ごめんね…中…
「そんな顔しないで。ね?」
「ごめん…ありがと」
「もう。過ぎたことはどうにもなんないんだから…だから敦夢…笑って?お前の笑顔好きだよ?だってスゲー可愛いんだから」
「可愛いとか知らねぇし…」
「ふふ…お前が笑えばみんなお前に夢中になっちゃうかもね。そしたらこうがヤキモチ妬いちゃうかな」
「うるせぇよ」
「ふふっ…やっと敦夢らしくなったね。敦夢はこうじゃないとね。」
ぽんっと肩を叩いて中が立ち去る。
きっと中には一生頭は上がらないしずっと敵いっこない…そんなお前の友人で遜色ないようこれから俺は…
そうしてしばらく…
「敦夢。」
「ん?何?豹」
「俺ね永遠と付き合うことになった」
「そっか」
「…何?驚かないの?」
「何で?お前ずっと永遠の事好きだったんでしょ?どんなときも側にいたから永遠もお前の良いところに気づいたんでしょ?だったら必然でしょ?」
「お前…いつから俺の気持ちに気づいてた?」
「…中の件辺りかな」
「まぁじかぁ…」
「だから遊んでたんだなぁって思って。まぁ仲良くね」
「豹!行くよぉ!」
「永遠!」
「敦夢。聞いた?俺と豹…」
「聞いたよ?永遠…本当にこいつでいいの?遊び人だよ?」
「いいの!俺の事一番だってわかったし豹のいいとこは沢山知ってたし。本当に好きな人ができたら…大切な人ができたら豹なら大切にしてくれるって気付いてたから…だから…俺は幸せだよ」
「そ。ならよかった。仲良くね」
それぞれの道を見つけ出した俺たちは前に進む。
きっとこれからも苦しいことや辛いことやどうにもできなくてもどかしいときだってある…でも…己を忘れなければきっと生きていけるから…
だから…
「あーちゃん。大好きだよ!ずーっと一緒にいようね」
「当たり前でしょ?」
もう一度大切な人を振り返ってみてその人が迷ってないか…自身が迷ってないか一緒に手を取り何度も何度も確かめながら共に歩き出す。
生きている限り…ずっと…大切な人と並んで笑い合っていられますように…
敦夢編 fin.
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