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お願いだから2

零夜が俺に、何か隠し事をしているのは……随分昔から、というよりも、俺が荒神に昇格した頃から……全く、変わらなくて。 寂しくもあるし、相変わらずだな、何て笑う余裕があれば……とも思うが、口下手な俺には全く、無理な相談で。 激昂してしまえば、幾らか楽に聞けるかも、知れないのに。俺は……零夜の優しさに甘えて、未だ、何も聞けたことは……ない。 心を読もうとして、でも、偽物の表情を焼き付けられて……読めない、と眉を下げれば、良いことは無いと……言われる。知りたいだけだ。だが……嫌がられると、強要できない……。 力でねじ伏せる、のは……簡単すぎる、ことなのに。 俺は荒神で、零夜は……式神だから。 だから、どうしたって力の差は、大きく開いているんだ。……哀しい話でも、あるな。 「零夜……怪我は、無いか……?」 俺は哀しくて、でも零夜を心配、させたくなくて……。言葉で、誤魔化した。 大切な、俺の親友。俺と一番、永く付き合ってくれた大切な……大切な、式神。卑下もしない、陶酔もしない……優しくて、真っ直ぐで。 ああもう、俺の頭は……使えない。零夜のことを、上手く言い表せない……嫌に、なる。 「え? 怪我? んー、僕は俗に言う主さんのお気に入りだからさ、目に見えるような傷は無いんだよね」 少し悲しげに笑う零夜は、帯を軽く解いて……俺に、綺麗な白い肌を……晒した。 胸や、首元に散る赤色……。 眉をひそめれば、零夜は笑って、俺の視界からそれを、隠した。 治させろ、と言っても……聞きはしない。消すなと言われているから、と笑って。偽物の笑みを、俺の目に焼き付けて。 隠すな、と言っても……聞きはしない。 零夜は、こういう所で頑固、だ。 何で、なんだろうな……? 俺と零夜は親友で、永い付き合いだと言うのに……。 有り体な言葉かも知れない……でも、俺は……零夜のことを、大切だと、思っている……から。 「……また、やられたのか」 「最後まではやられないんだよね。僕は主さんのお気に入りだから、何時かはやられるんだろうけどさ」 零夜、頼むから……頼むから、俺の前で……無理を、しないでくれよ……。心配なんだ、俺は。お前が、お前のことが……どうしようもなく、大切だから。 お前はかけがえのない、俺の親友だから……。 鶴とは違って、お前は俺をずっと見てきているから……情が移るというよりも、もう、俺の一部なんだよ……。

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