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お願いだから1

僕は零夜(レイヤ)で、彼は黒鈴(コクレイ)。 式神と、荒神。哀しいね。 だから僕は笑うんだ。何時消えるとも知れない命。……一番大切な黒鈴のために、笑っていたいから。 黒鈴が、ほらまた僕を呼んでる。……行かないとね。 「こくれー」 上に上げた僕の手首の鈴が、しゃらりと音を立てる。待ったかな、なんて言いながら首を傾げると、かちゃりと金属音。 息苦しさにすぐ首を元に戻した。……彼の趣味は本当に悪いよなあ、なんて思いながら首輪に触れる。呪殺符と同系統の結界が張られてるせいで、外すことは出来ないけれど。 「いや……待っては、無い」 優しい彼に歩み寄って、ありがとうと微笑む。本当に黒鈴は優しいね。 僕の名前は零夜。しがない式神。 ほんの少しだけ見目が良いから、今の主さんにはかなり遊ばれることが多い、かな。 因みに付けてる首輪はその主さんの趣味。あんまり良くない趣味だよね。 因みに僕の目の前に居る彼の名前は黒鈴。僕の親友で荒神。 無造作にはねた髪がもったいないような美人でね、強いし格好いいんだ。無口だけど、とっても優しい。 紅色の瞳が僕の心を射貫く、みたいな感じがするけど……それでも温かいんだ。 「うーん、君がそう言ってくれるのは嬉しいけどさ、待たせちゃったか僕は気にするタチなんだよね」 待ち惚けさせるのは、僕の本意じゃ無い。 というか、叶うことなら四六時中彼の隣に居たいし。まあ、勿論無理な相談なんだけど。 僕には主さんという枷が居る。でも黒鈴は何時だって自由だから、肉体的で物理的な“自由”っていうものの大きさが違う。 羨ましい事もあるけど、やっぱり寂しさの方が勝る。幾ら願っても、僕から黒鈴に会いに行けるのは……偶にの事だから。 僕は風に僕の声を焼き付けて、黒鈴を呼んで、黒鈴に呼ばれて。 僕らはそうして、束の間の再開を果たすんだ。 次なんて無いかもしれない、次も会える、なんていう確証はほっとんど無いんだ。 仕方ないよね、僕は式神なんだから。 「零夜、お前は何と、言うか律儀だな……」 ……それは君だけにだけだよ、黒鈴。

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