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第10話

「……早く、食いてぇ」 唇が離されて直ぐ、竜一が熱の籠もった声で囁く。 熱い息が耳や首元にかかると、そこが熱を持ち、ゾクリと粟立つ。 と同時に、胸の奥がズクンと疼き、トクトクと鼓動が高鳴る。 「……っ、!」 竜一に首筋を食われ、歯が立てられると 全身が震え、竜一を掴む手から力が抜け落ちる。 竜一に身を委ねながら、僕の口から吐息が熱く漏れた……… ベッドに組み敷かれた僕は、竜一とは正常位が初めてだという事に気付く。 いつもは四つん這いで、強引に腰を掴まれお尻を突き出した格好だったから。 ………顔を見られるの、恥ずかしい…… 掴まれた足首が大胆に持ち上げられ、割り広げられたそこに竜一の体が入ると、少し浮いた僕のお尻をもう片方の手が掴み、揉みしだく。 そして直ぐに指先が後孔に当てられ、ゆっくりと押し込まれていく…… 「……りゅ……っ、」 行為の前に指を入れられるなんて事、今までなくて…… ……怖くて、懇願する目で竜一に訴える。 だけどそんな僕には目もくれず、竜一の指は更に奥へと侵入し、丁寧に、焦らす様に解していく…… 『優しくしてやるからよ』 先程の言葉が蘇る。 そのいつもと違う扱いに、何だか擽ったい様な、変な気分になる。 ……あ、 奥の方……ある一点を刺激され、ナカがきゅうと熱く疼く。 ……やだ、変…………ゃ、なに……怖い…… 何度も刺激され、掻き回され、体がどんどんオカシクなっていく…… ……ゃ…… こんなの、なんか変……ヘン…… 体の力が抜け、指先まで血液が沸騰した様に熱く甘く痺れ……何故か息苦しくなったように呼吸が乱れる。 息継ぎをする様に、唇を少し割り開く。と、そこを竜一の唇に塞がれてしまう。 唇の上も下も執拗に食まれた後、しっとりとした熱い舌が差し込まれる…… 「……ンッ!」 その瞬間、後孔に入った指がゆっくりと抜かれた。 「は、……ぁあ、っ」 咥内では僕の舌根を何度も絡め、唾液で溢れる。 指が抜かれ寂しく疼くソコには、苦しそうに張り詰め硬くなった竜一のモノが、代わりに宛がわれる。 「……、ぅンっ、」 『痛ぇの、好きだろ?』 いつもはそう言って、強引に捩じ込んでガンガンに突いてくるから…… 痛くて……痛みを通り越して感覚が麻痺してしまって…… ……でも、竜一が気持ちいいなら……僕の体でイッてくれるなら…… 僕が一番好きなあの瞬間……心と心が触れ合ったような、あの抱擁があれば…… それだけで、良いと、……思って、た………のに…… 「……ぅ、あぁ…ンッ、や、……」 媚薬を飲まされた時のよう。 体の中が熱く火照り、肌が湿気を帯びて上気していく…… 頭の中が、ショートしたみたいに、……もう、真っ白で……なにも、考えられ……… 「……やぁあ、ンッ、!」 ……声が、勝手に……漏れ出ててしまう……

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