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第18話
逢いたい……竜一……
二日連続で来てくれたから、今日も来てくれるんじゃないか……なんて、期待してしまってる自分がいる。
……そんな事、ある訳ないのに。
蛇口に手を伸ばし、キュッと閉める。濡れた髪を適当に絞ると、浴室のドアを開けた。
──ピンポーン
突然のチャイム。
大きく跳ね上がる心臓。
もしかして……竜一?
バスタオルに身を包み、逸る気持ちを抑えながら、淡い期待に胸が膨らんでいく。
「……はい」
インターフォンの受話器を取って画面を見れば、明らかに業者と思わしき格好をした人物が画面に映る。
白黒の荒い画面で解りづらいけど、作業着姿にツバ付きのキャップを目深に被り、首からは社員証らしきものをぶら下げている。
『△□ガスです』
……あれ、今日だったっけ……
紙が入ったのは昨日。
まさか、今日だったなんて……全くの想定外。
冷蔵庫にいって確かめたい衝動にかられていると、作業員がキャップのツバを摘まむ。
《点検に来ました》
それを外す訳でも無く、紐でぶら下がる社員証を掴んでみカメラに近付ける。
古いタイプのインターフォンのせいか、酷い画質のせいで顔写真が貼られている程度にしか判別できない。
「……お待ちください」
受話器を戻すと、急いで身支度をする。
「………失礼します」
顔を下げたまま、作業員が玄関を上がる。
衿口が広くあいた、竜一用の大きいサイズの白Tシャツ。その裾を引っ張り、ショートパンツから伸びる足を少しでも隠そうとするけれど。それには長さがまだ足りない。
先程ジーンズが濡れてしまったせいで、手持ちのボトムがこれしかない事を後悔する。
「……ガス元を見せて貰っていいですか?」
「はい」
先に台所に入り、作業員を案内する。
取り付けタイプのガス台を動かし、作業員がガス元を確認する。ガスの漏れが無いか、管に異常がないかを見るためなんだろう。
「……」
玄関のドアを開ける前、濡れてしまった廊下は拭いたものの、まだリビングは拭き終わってない。
作業員がガス台で作業しているのを確認し、リビングへと向かう。
そして両膝と片手をつき、箱から取り出したティッシュで濡れた床を拭いた。
「……」
ひた、ひた……
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