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第151話

僕がハイジの実父と身体を重ねる事に、心の中で笑っていたのだろう── 「……」 「お前、若葉の血ィ……少しは引いてんだろ?」 僕が無反応でいたからか。咥内をひと掻きされただけで、直ぐに唇が離される。 「……の割に、色気ねぇな」 顎下に手のひらを差し込み、親指と残りの四本指で両頬を挟み上げ、ぐっと押し潰す。 「舌、出せ」 僕を見下げる菊地の鋭い目が、劣情を孕む。 言われるがままに舌を差し出せば、今度は興味を失せたように深い溜め息をつく。 「………青臭ぇ」 「……」 「お前……俺が部屋に入る前、五十嵐を色っぽく誘ってたよな? ……それやってみろって言ってんだよ」 ──!! 見られて、た……? 動揺して僅かに瞳が揺れる。 「……あん時ばかりは、お前がちっせぇ若葉に見えたんだがなァ……」 身体が熱くなってきたのか、菊地が勢いよく湯船から上がる。 ザバッ、と激しい水音。荒れて大きく揺れる水面。顔に掛かる水飛沫── 「まぁ、素質はあるんだろ。……それを俺が引き出してやるよ」 「……」 「もしそれがなきゃあ……今頃お前を、AVかソープに沈めてた所だ」 ……つまり、それは…… 最初から、僕を帰す気などなかった……って事か…… 顎先から滴った水が落ち、まだ揺れの収まらない水面に小さな波紋を作る。 背を向けた菊地が浴槽の縁に腰を掛け、ぼりぼりと脇腹や二の腕を掻き毟る。 「出ろ。……立てんだろ、一人で」 振り返った菊地が、僕を見下げながら命令口調で言う。 浴槽の縁に手を付き身体を持ち上げれば、水面より上に出た身体が鉛のように重くて。バランスを失って、蹌踉けてしまった。 「……おい、」 足元が滑り後ろに倒れそうになるのを、菊地の片手が食い止める。 バシャッ、と水が飛び散る。 浴槽の底に尻餅をついたけれど、幸い後方の壁や浴槽に頭をぶつけずに済んだ。 「気をつけろ」 僕の腕を引っ張り上げる。 その時、僕の肋骨が異常に皮膚から浮き上がり、まるで洗濯板──肋骨が真空パック状になっていた。 「……、っン」 膝を開いて座る菊地の前に跪き、反り上がったモノを口に含む。 調教なんかされたくないと、突っぱねられたらどんなに楽か……なんて思いながら……

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