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一夜
まるで、金魚鉢のような硝子の部屋にいれられる。
一人一人の鮮やかな着物はまるで金魚のようだ。
全体的に部屋が水色で、水中にいるような透明感がある。
そんな部屋で、お客を見つめる。
僕だけが売れない。他の子達は売れていくのに、客は僕を遠目で見ると他の子を買う。
『あいつ、綺麗だな。』
『やめとけよ、お前なんかに相手されるわけないだろ?』
『確かに‼ははっ!』
そう言って次々と周りの子を買っていく男たち。
「今日も残り物か。」
小さなため息が、彼の小さな麗しい唇から出る。
しかし、目の前には一人の男が立っていた。
「君、とても綺麗な金魚みたいだ。」
この男は、今僕を綺麗と言った。
「君にしよう。」
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