1 / 2

一夜

まるで、金魚鉢のような硝子の部屋にいれられる。 一人一人の鮮やかな着物はまるで金魚のようだ。 全体的に部屋が水色で、水中にいるような透明感がある。 そんな部屋で、お客を見つめる。 僕だけが売れない。他の子達は売れていくのに、客は僕を遠目で見ると他の子を買う。 『あいつ、綺麗だな。』 『やめとけよ、お前なんかに相手されるわけないだろ?』 『確かに‼ははっ!』 そう言って次々と周りの子を買っていく男たち。 「今日も残り物か。」 小さなため息が、彼の小さな麗しい唇から出る。 しかし、目の前には一人の男が立っていた。 「君、とても綺麗な金魚みたいだ。」 この男は、今僕を綺麗と言った。 「君にしよう。」

ともだちにシェアしよう!