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写真の中のあいつ1

『もっと足を開け。腰を持ち上げろ』  くそっ。 『もうこんなに濡らして、これが欲しいんだろ。可愛く鳴いてみろ』  なんで、あいつの声ばっかり……。 『俺をその気にさせてみろ。じゃなきゃ、俺はお前を満足させてやんねえよ』  満足させろよ、ちくしょう! 『ああ、いいぞ。出せばいい。私もお前の中に……』 「んんぅ…ん」  俺は白いティッシュの中に、欲望を吐きだすとバタンと敷き布団の上に倒れ込んだ。 「…くしょっ! 道元坂め。俺をこんな身体にしやがって」  俺は軽く疲労の残る身体を起こして、ティッシュをゴミ箱へ投げる。  道元坂のマンションを出て行ってから、3ヶ月しか過ぎていないのに、俺の欲求不満度は日増しにあがっていく。  消えることのない欲望って感じがして、苛々する。日が立てば、忘れる想いであってほしいのに、日が過ぎるごとに、道元坂の腕の中が恋しいと感じてしまう自分自身に呆れている。  トランクスを引き上げて、ジャージを穿いていると、ガチャっとアパートのドアが開いた。

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