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第7話

「おーすげえ」 かわいそうな程顔を赤く染めた秋山を、夏川は面白そうに眺め、「秋山、ずっと聞きたかったんだけど」と、ふいに真面目な口調になった。 「お前が仕事遅いのって、他の奴の分までやってるからだろ?どうせ今日も仕事押し付けられて、断れなかったんじゃないのか?」 図星を指され返す言葉もない秋山に、夏川は眉をひそめた。 「ったく、お人好しで真面目すぎるのも考えもんだぜ?でも、今日に関してはその誰かさんに感謝しないとな。おかげで熱い告白が聞けたわけだし」 「……な、何度も言うなよっ……」 夏川の手のひらの上で転がされていた自分に、改めて秋山は猛烈な羞恥を感じた。 「散々待たされた分は、追々返して貰うとして、まあ取りあえず、これ一緒に行かないか?」 夏川はスラックスのポケットからあるものを取り出し、秋山に手渡した。それはサッカーの試合のチケットで、開催は二日後の日曜日だった。 「晴れて両思いになった訳だし、付き合って初めてのデートには最適だろ?」 両思い、付き合う、デート……。 なんとも甘酸っぱい響きに、秋山はドキドキと心臓を高鳴らせ、「行きたい」と、力強く頷いた。 「よっしゃ」と、ガッツポーズを作ってたちまち満面の笑みになった夏川を、秋山は眩しそうに見つめ、やがて釣られたように顔を綻ばせた。 花火の残響が、いつまでも心地よく、室内に漂っていた。

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