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第6話
「な、な、なん、き、き、!?」
顔を真っ赤にさせ、言葉にならない声を上げた秋山は、今自分に起きたことが信じられず、頭がパニックになった。そんな秋山の肩を手でポンと叩き、「まあ落ち着けよ」と、夏川は穏やかに言った。
「お前は全然知らなかったと思うけど、俺はお前の気持ちにとっくに気付いてたぜ?試合観てる時とか食事中に、チラチラお前の視線感じてたしな。時々頬を染めてたからピンと来た」
「……」
夏川が語った事実に秋山は絶句する。
そんな……。じゃあ、夏川に気持ちを知られるのが怖くて逃げ回っていた自分は一体何だったんだと、羞恥に襲われ、穴があったら直ぐに入りたくなった。
「だから、お前が俺を避けた理由の見当もすぐ着いた。初めは頭にきたけど、何言ってもお前の態度は変わらなそうだったから、あえて引いたんだよ。ここまで長引くとは思わなかったけどな」
「……ごめん」
すかさず謝った秋山に、夏川はふっと笑う。
「まあいいさ。気落ちするお前を盗み見るのは楽しかったしな。でも流石に我慢出来なくなって、今日お前に会いに来た。お前に告白させる為にな」
「ど、どういうことだ……?」
聞き捨てならないことを聞いた気がして、秋山は思わず問い詰める。
「何かきっかけがないとお前は言いそうになかったから、どうしたもんかと思ってたときにメッセージ花火の存在を知ってな。これは良い誘導材料になるなって思ったよ。まんまとお前は告白してくれたしな」
ニヤニヤと笑って衝撃的なことを言う夏川に、秋山は更に羞恥を募らせ、「じゃ、じゃあ」と、声を上げた。
「……な、何でさっき、俺にキスしたんだよ……」
すると夏川は、心底呆れた様に息を吐いた。
「そんなの、俺もお前が好きだからに決まってるだろ?好きでもない奴にキスなんてしねえよ」
「!?」
今日一番の驚愕の事実に、秋山は息を飲む。そして、「で、でも」と、畳み掛けるように言葉を続ける。
「……お前はモテるし、それこそ選り取り見取りなのに……、何で俺なんか……。そもそも俺は男だぞ……?」
「お前も男だけど、俺を好きになっただろうが」
「……そ、そうだけど……」
ぐっと口籠った秋山に、夏川は勝ち誇った様に笑う。
「お前の気持ちに気付いたときは、どうしたもんかと思ったけど、悪い気はしなかった。俺もお前と一緒に居て楽しかったし、他の奴等が知らない、俺だけが知ってるお前がいるって思ったら、妙に気分が良かった。お前の一挙手一投足が、いちいち愛しく感じて、あ、これは惚れたわって」
熱烈過ぎる夏川からの告白に、ボボボ、と、秋山の顔は最早ゆでダコを通り越し、噴火寸前の火山の様になった。
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