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【SS】仲良くショッピング
「あ~、こっちはどんなんにでも合わせやすいと思うねんけど、色的にはこっちの方が好きやねんなあ」
ファッションに無頓着なアヤの私服はひどいものだ。というかそれ以前に、ほぼ無い。本人特に不自由を感じていなかったが、見ていられないとリョウがショッピングに連れ出した。
が、結果的にリョウの服ばかり見ている。最終選考にまで残った二着を交互に体にあててみては、ああでもないこうでもないと鏡の前で考え込んでいるのだ。
「な、な、アヤ、どっちがいいと思う?」
ぶっちゃけアヤはうんざりしていた。さっさと決めてさっさと帰りたかった。
「迷ってるならどっちも買えば」
興味がないのを隠す気もなく、ちらりと見ただけで答えるアヤ。
「んもー、なんでそんなに無関心なのかねえ。ちょっとはカッコ構った方がええで、磨けば光るタイプやねんからぁ」
リョウはまだ二着を体にあてたまま、口をへの字に曲げて非難する。ちゃんと本音を言わないと終わらないと悟り、アヤは口を開いた。
「どうでもいいよ服なんて。誰もが同じような服着てるし、服だけ着飾ったところでどうなるの」
「ハイ正論キタコレ!アラフォーなんやしもうちょい」
「どんな服着てようと、俺は脱いだ中身にしか興味ないから」
言うと、リョウの背中に腕を回し、シャツの裾から手を入れた。リョウはカエルを踏んだような短い悲鳴をあげた後に続ける。
「アヤ、どんどんエロオヤジ化してへん?ちょっとそういうのって」
「お嫌いですか?」
「…お好きです!!」
悔しそうに歯噛みしながら言い捨てるリョウに、アヤは声を上げて笑った。
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