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素直なキミも手がかかる 2
翌日、アヤと会ってもリョウは落ち着かない。あの液体を飲ませるかどうか、飲ませるならどのタイミングで飲ませるか、その事ばかりが頭の中をぐるぐると回っていて、隣にいるアヤのことなど眼中に無いという本末転倒ぷり。
「何かあったの」
最近のアヤは昔と違い、よく気がつくようになった。もともと仕事においては気配り満点なんだから、リョウにもそのセンサーを向けるようになったということなのだろう。
「ん、いや、別になんも」
慌てて取り繕うが、きっと誤魔化しきれていない。
「ふうん。ならさっさとしようか」
その夜の交わりは心做しかとても事務的なようにリョウは思えた。何かあったのかと気にかけてくれたのに、きちんと話さなかったから、冷たく抱かれたのだろうか。体は火照っていても、心は冷え冷えとしていた。
「なあアヤ……怒ってる?」
「何が」
「いや、なんかちょっといつもより優しさが足らんような……」
「別に。いつも通りだけど」
リョウの心を寂しさと悲しみが占拠し始めた。アヤがおおっぴらに優しさをふりかざす性格では無いのはわかっているが、体を繋いだあとぐらい、もう少し……
「そっか……」
――今かもしれない。
愛されていないとは思わないけれど、やっぱり本音が知りたい。
そう思ったリョウは、いつもならそのまま眠ってしまう流れなのに、起き上がりコーヒーを淹れた。
「これからまた試験勉強やろ。ごめんやけど先寝るわな」
アヤの傍らにコーヒーをそっと置くと、リョウは再びベッドに寝そべった。
しばし観察する。たまに目が合う。
「何」
「あ、何も」
「早く寝たら」
短いやり取りの後、アヤの視線はまたテキストに戻る。普段と何ら変わりない。やっぱりあんな薬、効き目なんかないんだ。リョウはやっぱりな、と苦笑いして、今度こそ寝ようと目を閉じた。
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