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第15話
シュートには心配掛けなくない。
俺と違って、シュートにはちゃんと目的があって、その為に都会に来て勉強もバイトも頑張ってる。
余計な心配させて邪魔したくない。
それに、俺が欲しいのは心配なんかじゃなくて…
「私も困ります。身内の経営しているホテルですし、宿泊客はBIPも多いものですから。なので、安心してください。」
「助かります。」
「甘い物はお好きですか?」
「え?」
「パンケーキ。身内贔屓ではないですが、とても美味しいですよ。」
目が覚めた時に感じた匂いはパンケーキにかけるメイプルシロップの匂いだったらしい。
優しくて、甘くて…
なんか凄いホッとした。
「甘いのは好きです。俺、朝はフレンチトーストにたっぷりメイプルシロップ派なんで。」
「朝の糖分は大切ですよね。」
「うんうん。でもパンケーキも有りだなぁ。今度パンケーキミックス買って作ろうかな。」
「自炊しているのですか?」
「料理は好きなんで。一人暮らしの貧乏学生だから外食する余裕もないですし。」
「そうですか。偉いですね。私はあまり得意ではないので外食ばかりです。」
人に褒められるのとか、久しぶりだ。
お世辞なんだろうけど、それでも嬉しい。
シュートみたいに器用じゃないから、俺は滅多に褒められる事なんかない。
だからなんか…
顔熱い…
「っ…」
「どうかしましたか?」
「あ…あーいや…」
「顔が赤いですね。熱でも…」
「いや、そういうんじゃなくて、なんてゆーか、照れてるってゆーか…」
「ふふ、可愛いですね。」
そう言ってふんわり笑ったこの人の顔は、やっぱり綺麗で、俺の顔は更に熱くなった気がした。
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