20 / 21

これまで、そしてこれから

 俺は別に何もしてないよ。  ただ君を拾っただけ。  それを言ったら、あの日あのときたまたま俺がそこにいた。  本当にそれだけ。  そう言ったら君は俺を怒鳴った。  君にしてはあまりにも激しい感情だったせいか、俺は思わず笑ってしまった。  馬鹿にしているわけではない。  あまりにも君が愛おしかったから。  ごめんね、と呟いて君を抱き締める。  久々に触れるこの温もりがあまりにも心地いい。  これではまるで、俺の方が示してもらっているようだ。  俺が、君といつまでも一緒にいられることを。  できることは君の方が多いかもしれないけれど、俺は俺なりにできることをするよ。  だから、今だけはここで少し休んでていいかな。 (この作品は第74回Twitter300字ssの企画に参加した作品です)

ともだちにシェアしよう!