俺の印鑑、わざわざ作ってくれたのか金箔で周りが縁どられている。 結婚はしたくない。というか、女性はいらない。 だからといってこいつと、――？ 「あの……俺、約束を守って頂きたいだけです。１０年間貴方を思っていた約束を」 「あー、ああ。分かってる」 「結納金、住む場所とか盾にとりたくない。俺が気持ち悪いと思ったら離婚してもいいので、お願いします」 あっくんは、やってることは滅茶苦茶なんだけど、ちゃんと行動に移してしかも１０年間もこんな引きこもりの俺を思ってくれていたらしい。 邪魔になったり合わないと思ったら、離婚していい。 「同性婚って、まだ珍しいんじゃないのか。お前、大丈夫か？」 「全然ですよ。珍しくないです。それに、俺、警官の服似合うでしょ」 「ああ、すげえ似合ってる」 「他に医者、軍服、パイロット、豪華客船の船長、スーツ、着物も着てあげますよ」 「！」 色々とおかしなことばかりが舞いこんでくる怒涛の展開の中、何が正しくて何が変なのか麻痺して分からなくなる。