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第77話
「……和葉さん、俺、隠し事しません! 包み隠さずなんでも言います」
同じ気持ちだと知り、胸が震えた。一緒に住むことで、我慢も嘘もしちゃいけないって、相手の気持ちを考えるって、思ってくれてるんだ。
「その真っすぐささえも俺は疑ってしまうから、俺への戒めのつもりだけどね」
「え?」
「寝るから前も仕事で疲れてるだろうし、俺の朝ごはんとか気にしないで。給料振り込まれたら、電気代とガス台とか折半するから」
「いえ。俺が全部払いますので」
「それか一緒にした方がいい? そーゆう話もしとく? 短い期間だけど」
薄笑いを浮かべて、諦めたようなため息を吐く和葉さんは、一人で何か自己解決してる。
マリッジブルーになると、人をどん底までネガティブにさせるものなのだろうか。
でもちょっと不貞腐れた、ひねくれた和葉さんも可愛いとか思ってしまう。
「今日は疲れてるなら、このルールを明日までお互い擦り合わせましょう。ご飯は、食べないほうが心配なので、簡単なもの、作っておきますね」
「……ああ」
なんでそんな辛い顔をするんだろう。
「和葉さん、俺が作ったご飯が嫌なら朝ご飯サービスとか頼みましょうか?」
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