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第78話
俺が尋ねると、和葉さんは下を向いて首を振った。
「悪いけど、今は何をしても優しさに変換できないんだ。腹巻するし、野菜の好き嫌いもしないし、内臓の健康には気をつけるから」
……。
やたら内臓にこだわっているけど、もしかして何か病気が発覚したのか?
重い病気で俺に相談できないとか?
「あの……体で何か心配があるのでしたら、竜宮家の掛かり付け医に来てもらいましょうか? 一応色々と薬とか包帯とか、向こうの離れに常備してますよ」
「離れ?」
「はい」
もし俺が風邪をひいて和葉さんに移したら大変なので、隔離するために離れを用意している。
インフルエンザで五日間離れないといけない場合は、和葉さん不足で暴れないように、地下に座敷牢もある。
「ふうん。……黒、だな」
陰った表情のまま、自室へ向かうと掠れた小さな声で『おやすみ』と言うだけだった。
心配になった俺は、すぐさまパソコンを開きマリッジブルーについて調べたのだった。
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