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第170話

『もっとあの子の心に侵入して、心を解放させてあげなさい。三人で楽しみたいでショ?』 『はいっはいいっ』 ヒールの先で尻にまで刺激を与えられ、歓喜の声をあげる警備員。 筋肉質で格好良くて、豪快な人。 それが自分より力もない女に、ハイヒールで踏まれている。 「衝撃だった。そこで俺は自分の性癖に気づいちゃったわけだ。すっごい興奮したんだ」 「……それでなんで停学になったんですか?」 「暴れたんだよ。奴隷になれって言われるたびに暴れて逃げてたら、俺が先生に暴力振るったって。先生が捻挫したとき、親も先生も、クラスの皆も誰一人信じてくれなくて、なんか面倒になっちゃって」 「俺なら絶対に、絶対に和葉さんを信じました。俺は誰が何を言おうと、世界中が批判しようと、絶対に和葉さんが正しいって叫びます。なんなら金をばらまきますっ」 「嬉しいんだが狂気なんだか」 だがそんなあっくんに沢山救われている。 「だから俺は官能の世界に逃げた。現実は誰も信用できないけど、あの警備員の乱れ叫ぶ姿は本当だったから。だから誰かとかかわるのは億劫だったけどエロは楽しくて」 全然シリアスにならない、真面目な話でもない、そんな笑いもしない過去話なのに。 笑おうとしても涙が邪魔をした。

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