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第179話
口の中、苦いぞという意味を込めて言ったんだけど、あっくんは全く躊躇なく舌まで入れてきた。
「……嫌じゃないの。自分の舐めた口だぞ」
「奉仕してくれた和葉さんの口が嫌なわけないです。というか申し訳ないから苦みを取ろうかと」
「ぶれないな」
思わず笑ったけど、そのまま押し倒されてキスしながら二、三度転がって、気づけば浴衣が全てはだけてしまった。
「冷たいですが、嫌なら手を――」
「縛る?」
クスクス笑う俺に、あっくんが困った顔をしていた。
手の平でローションを人肌まで温めるなんて、どこで得た知識なんだ。
悔しくて足でえいっと弄ると、「痛いですって」と真面目な返答があった。
「縛らないけど、――離してはあげられませんからね」
濡れた手で、なぞる。何度もなぞり、濡らして、つぷんと入ってきた指に体が震える。
ああ。俺を見下ろす君が、艶めかしくてかわいくて格好良くて、指一本でイってしまいそうだ。
「中、すごい熱い、ですっ」
熱い息が体にかかる。覆いかぶさるあっくんの髪が、肌の上に滑る。
お互いの熱で沸き上がった汗が、涙のように落ちてくる。
薄く足を開いて、動く指を受け入れながらも恥ずかしさと幸せがせめぎ合う。
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