市長が竜宮家に別荘を贈るなんて、どう見ても好感度ナンバー１の市長の粗を探したい奴たちの餌食になる。あるとこないことバンバン書かれ、重箱の隅を突くような反対派が強気になる。 　今はそんな下手な燃料を撒く時期ではない。 「とりあえず通してください。あと密会だと詮索されないようにSNSに友人の結婚祝いなう、みたいなコメント残させておいてください」 バタバタと足音も雑になってしまう。スーツとかではなく、ラフな格好であくまでもプライベートとしないと。仕方ないが、恵も呼ぼう。大学生がいれば邪推も減るだろうし。 ああ。義理硬いのは知っているが落ち着いてからで良かったのに。 「それで立川市長は？」 「テニスコートで、パートナー様とテニスを楽しんでおります」 「来てるならはやくお茶を！」 何から驚けばいいやら。 それとしても、人と関わるのが苦手な和葉さんにはどう説明しよう。 ああ。蜜夜二日目が、台無しだ。 はやく和葉さんを抱きしめながら寝たいよ。